2017.11.13

香典返し|いつ送るべき?金額の目安は?

香典返し|いつ送るべき?金額の目安は?

香典返しとは、もともとは仏教の用語で、香典をいただいた弔問客に対して、お礼の気持ちを表した品物を渡す習慣のことを指します。

そもそも香典返しの「香典」とは、弔問に訪れる人が故人の冥福を祈ってお香を備える習わしのことでした。そこへ葬儀のために多額の費用が必要となる遺族に対する心遣いの意味も加わり、時代とともに現金を包んで渡すのが一般的となりました。
香典が(日本では仏事であった)葬儀を支える意味を持つお金である以上、その謝礼である香典返しにも仏教的な考え方に根付いた様々なルールやタブーがあります。
今回はこの記事で、香典返しを贈る時期や、金額の目安について解説します。

香典返しを送る時期は?

香典返しは「忌明け」または「忌明けの儀式後」に送るのが基本

香典返しを送るタイミングは、「忌明け」または「忌明けの儀式後」が基本とされています。

忌明けとは

遺族が故人の冥福を祈って喪に服す期間を終える日、または喪に服す期間を終えることです。喪に服す期間は忌服期間(きふくきかん)とも呼ばれ、期間の長さは宗教によって異なります。

忌明けの儀式は仏教で言うと「四十九日法要」または「七七日法要」にあたり、故人の死後35~49日以内に行う法要のことを指します。
ちなみに、なぜ死後35日~49日以内に忌明け法要を行うかというと、死後四十九日を過ぎてからの忌明け法要では、すでに故人の魂が家を離れてしまっているので良くないと言われているからです。

忌明けの儀式後に香典返しを送る場合は、2~3日以内に、お香典をいただいた方へ香典返しの品物が到着するように送ります。また、香典返しを送る際は、品物とあわせてあいさつ状を添えるのが一般的です。

忌明けのタイミングは宗教によって異なる

故人が亡くなったあと喪に服す期間はそれぞれの宗教で異なります。一般的に仏教、神道、キリスト教の「忌明け」のタイミングは次の通りです。

仏教 四十九日の法要後
※ただし四十九日の法要までに月が三度変わる場合は五七日(三十五日)後
神道 五十日祭後
キリスト教 死後1ヵ月の昇(召)天記念日や記念式

最近は葬儀の場で香典返しをする「当日返し」が増えている

近年、都市部では、香典をいただいた当日に香典返しをお渡しする「当日返し(即日返し)」が増えています。

東京では「当日返し」が7~8割!

実際、東京23区では、約7~8割の方が葬儀当日に、香典をいただいた方に対して香典返しを「即返し品」、「当日返し品」として渡しています。そのため、忌明け法要を行ったあとに香典返しが届くよう手配するのは残りの2~3割に留まるのが近年の都市部の実情です。

香典返しの贈り物、金額の目安は?

香典返しの金額は香典額の1/3~半分相当

香典返しの金額の目安は、いただいた香典額の1/3~半分にあたる金額分を返すのが一般的です。

受け取った香典額に応じて2~3種類の香典返しの品を用意する

香典返しの品は、2~3種類の金額帯の品を用意する方法が一般的です。その際、香典すべてに対してピッタリ半額、半返しになるよう、厳密に考える必要はありません。中には香典額の4割や1/3相当の香典返しになる場合があっても大丈夫です。

本来であれば一人ひとりに、いただいた香典額の半分に当たる品物を返したいところです。しかし、香典の数が多かったり、受け取った香典額に幅がある場合、香典返しの品を、厳密に一軒一軒見合ったものに分けて準備するのは困難です。

  1. いただいた香典を、安い・普通・高いの3つ程度で分類する
  2. それぞれの金額帯の香典返しを選ぶ
  3. 特に高額な香典については、個別に対応を検討する

と分けて考えていく方が、香典返しの決め方としては比較的スムーズでしょう。

当日返しなら一律、同じ品で

香典返しの金額は、必ず半返しにしなければならない、という決まりではありません。そのため全員に対し、一律の金額分のお返しの品を用意してもかまいません。特に、当日返し(即日返し)をする場合は、その場でお返しができるようあらかじめ用意しておく必要があるため、一律の金額分の香典返しの品を用意しておくことになります。

高額の香典を受け取った場合の香典返し

香典額に見合う香典返しの品を送る

高額の香典を受け取った場合は、他の香典返しの品より高額になっても、いただいた香典額に見合った香典返しの品を用意する方がベターです。

香典返しの品以外にもお礼の品を送る

当日返しをする場合は、受け取った香典額を確認する前に香典返しの品を渡すことになります。だから高額の香典をいただいても、それに見合ったお返しができない可能性が高いです。そのため、香典額と香典返しの品との差額分は、いただいた香典額に見合う品物を、忌明け後に「お礼の品」という名目で送ることもできます。

香典返しに適した贈り物の選び方

香典返しの品には「消え物」を選ぶのがマナー

香典返しに贈るものは、「消え物」と呼ばれる、あとに残らないものを選ぶのが基本です。定番の品物はお茶、お菓子、海苔、佐藤、石鹸などで、日常生活でよく使うタオル、ハンカチ、風呂敷、漆器、陶器といった品物も選ばれることが多いです。

肉・魚・お酒・商品券は避けた方がベター

香典返しはあとに残らない「消え物」が基本ですが、宗教的な問題から肉・魚は避けるのが一般的です。お酒についても、お祝いで用いるイメージがあるため、香典返しには選ばない方が無難でしょう。
商品券も、金額が相手にあからさまにわかるものなので、不快に思われるのを防ぐためにも、香典返しに使うのは不向きです。

香典返しの品を簡単に準備するならカタログギフト

近年、香典返しの品は、約5割の人がカタログギフトを用意しているのが実情です。
カタログギフトは「選べるギフト」、「チョイスギフト」とも呼ばれ、相手に好きなものを選んでもらえるので、相手の好みが分からなくても送りやすいのがメリットです。
そして準備する側も、いただいた香典額ごとに、香典返しの金額に見合うカタログギフトを選べばいいだけという手軽さがあります。そのためカタログギフトは、現在のところ、最も簡単な香典返しの品の選び方といえます。

ただしカタログギフトは、カタログ代が費用の中に加味されているため、実際の商品の価値はカタログギフト購入時の額面より低くなるのがデメリットです。

価値のある香典返しの品の選び方

香典返しの品は相手に感謝を伝えるためのものなので、喜んでもらえることが第一です。そのため、たとえば
「伯母さんは日本茶が好きだったな」
と、相手が喜びそうなものが推測できるのであれば、日本茶を商品カタログから指定して送るのがおすすめです。「自分のことを考えて品物を選んでくれたんだな」と相手にも気持ちが伝わり、価値のある香典返しとなる可能性が高いからです。

「職場一同」で受け取った香典へのお返しは

グループ全員に行きわたるような品物を選ぶ

香典を「職場一同」など複数のグループでいただいた時の香典返しは、グループ全員に行きわたるような菓子折りに、あいさつ状を添えて贈るようにしましょう。一人一人にお返しをする必要はありません。

香典返しの品は相手に喜ばれるものを選ぶのが基本

香典返しも贈り物の一つです。だから「消え物」という基本のマナーをおさえた上で、相手に喜んでもらえる品を送るのがベストです。
相手の好みが分かっている場合は、具体的な品物を用意して送る方が、より感謝の気持ちが伝わるでしょう。

香典返しのかけ紙・表書きの選び方

香典返しのかけ紙の基本は「黒白結び切りの水引」

宗教を問わず香典返しに使用できるかけ紙は、「黒白結び切りの水引」がついたものです。

地域によってかけ紙の種類が異なることもある

香典返しに使用するかけ紙の種類は、地域によって異なることもあります。例えば関西地方では「黄白結び切りの水引」が用いられることが一般的です。

香典返しの表書きは「志」が基本

香典返しのかけ紙への表書きは、「志」が宗教問わず使用できます。

宗教や住んでいる地域で表書きが異なることもある

香典返しの表書きは、宗教や住んでいる地域によって用いられる言葉が異なる場合があります。仏教・神道・キリスト教の代表的な表書きには以下のようなものがあります。

仏教 「忌明志」
(関西では「満中陰志」、「粗供養」、一部の地域では「茶の子」が用いられる場合もある)
神道 偲草、しのび草
キリスト教 昇(召)天記念、感謝

香典返しのかけ紙・表書きは地域や宗教の違いに注意を

香典返しのかけ紙や表書きは、住んでいる地域や宗教によって用いられる種類が異なる場合があります。香典返しを用意するときは、どの種類のかけ紙や表書きを用いればいいか、確認してから準備しましょう。

香典返しに添えるあいさつ状を準備する

あいさつ状は香典返しの品とあわせて手配するのが一般的

香典返しに添えるあいさつ状は、デパートや葬儀会社など香典返しを依頼する際にあわせて手配を頼む方が多いです。

手書きのあいさつ状を用意する場合

送る先が少なく、手書きのあいさつ状にする場合は、薄墨ペンを使用し、奉書紙1枚に文面を収め、奉書紙の一重封筒に入れるのが基本ですが、印刷したものやカード型の紙を用いてもかまいません。手書きで用意する場合は、次の5項目を入れて作成するのが一般的です。

  1. 時候の挨拶
  2. 故人の名前
  3. お礼
  4. 略儀であること
  5. 差出人
一般的なあいさつ状の文例

謹啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます

先般 夫△△〇〇儀 永眠の際には

ご多用中にもかかわらずご会葬下さりその上

過分なるご厚志まで賜りまして誠に有難く

厚く御礼申し上げます

おかげさまをもちまして〇月〇日

四十九日の法要を相済ませました

つきましては供養のしるしまでに

心ばかりの品をお届申し上げました

どうぞお納めくださいますよう

お願い申し上げます

さっそく参上してお礼を申し上げるべきところ

失礼ながら略儀にて 書状をもって

謹んで御挨拶申し上げます

謹白

△△□□
平成〇年〇月〇日

意図して香典返しを行わない場合

香典返しを行わないケースの例

いただいた香典に対しては、きちんと香典返しをするのが基本ですが、例外的に意図して香典返しをしない場合があります。たとえば、以下のようなケースです。

  • 故人の希望で社会福祉施設などに寄付する場合
  • 働き盛りの父親など一家の大黒柱を失い、香典を子どもの養育費に充てる場合
  • 香典に「香典返し不要」と書かれている場合

香典返しはしなくてもあいさつ状は必ず送る

事情があって香典返しをしない場合でも、あいさつ状は出すのがマナーです。「香典をしたら香典返しがあるのは当然」と思っている方もいるからです。そのため、あいさつ状を出すことは、香典返しをしないことに対し、相手に理解を求めるという意味でも必要です。相手から「香典返し不要」と言われた場合も、あいさつ状によって感謝の気持ちを伝えることができます。

もし寄付を理由に香典返しをしない場合は、あいさつ状に寄付の報告を書き添え、寄付先からの令状があればコピーを同封しましょう。

そもそも香典とは?香典の歴史と香典返しを送る意味

香典返しは、はじめは存在しなかった習慣

もともとお香を備える習わしだった香典が、遺族へ金銭を送る習慣へと変化した時期は、武士階層は室町時代ころから、一般庶民は明治時代以降、一部農村部は戦後からのことと考えられています。
香典でお金を渡す習慣が成立した当初、香典返しはまだ存在しませんでした。遺族が香典でお金を受け取った場合、その「借り」は、香典をもらった相手の家族の不幸の際に香典で返すものだったからです。

現在の香典返しの形は時代の変化に対応したもの

その後、時代とともに社会環境が変わり、人とお金の流れが活発になっていきます。特に近代以降は、ひとりの人が一生同じ地域で居を移すことなく生活しているとも限らず、生活の変化にともない人間関係が入れ替わっていくことも普通になっていきました。
香典を送った相手・送られた相手が、先々、互いに疎遠になってしまうと、古来に行われていた『香典を受け取った「借り」を、先々の香典で返す』というルールが実現できなくなります。むしろ、香典の「借り」を返さないことが非礼という印象を与え、疎遠になってしまうリスクさえ出てきます。
こうした社会状況の変化もあり、香典をいただいた方へのお礼を伝え、人と人がうまくやっていくための工夫として、現在の香典返しの形が出来上がっていきました。

香典返しはマナーを守り、感謝の気持ちが伝わる対応を

香典返しに迷ったときは葬儀社に相談を

香典返しにはマナーがありますが、住んでいる地域や宗教によって、送るタイミングや用意の仕方が異なることもあります。金額の目安もケースバイケースなので、全てが基本のマナーに当てはまるとは限りません。送った後で失礼がないよう十分に注意して、相手に感謝の気持ちが伝わる香典返しを心がけましょう。
もし香典返しのマナーや手配で悩まれたときは、葬儀社の担当者へ相談してみてください。専門の知識を持ったスタッフが解決に導いてくれるはずです。

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