2019.4.8

神式葬儀の流れと作法について解説|玉串奉奠とは?

神式葬儀の流れと作法について解説|玉串奉奠とは?

葬儀の形式は仏式葬儀だけでなく、神式葬儀やキリスト教式葬儀など多様なスタイルがあり、作法もそれぞれ異なります。
今回は、「神式葬儀はどんな風に行われるのか」、「参列するときの作法が気になる」、という人が不安を解消できるよう、神式葬儀のときに覚えておきたい作法についてご紹介します。

神式葬儀における「通夜」「葬儀」

神式葬儀では通夜・葬儀の呼び方・内容が異なる

一般的に使われる「通夜・葬儀」という言葉は、本来、仏式葬儀の言葉です。
神式葬儀にも「通夜・葬儀」にあたる儀式はもちろんあるのですが、神式葬儀では、その呼び方も違えば、儀式の内容も異なります。

神式葬儀における通夜の儀式「通夜祭」

神式葬儀で、仏式葬儀の通夜にあたる儀式は「通夜祭(つやさい)」と呼ばれます。
通夜祭では、故人の霊魂を遺体から霊璽(れいじ)に移す儀式も行われ、この儀式のことを遷霊祭(せんれいさい)と言います。

霊璽とは

霊璽は、仏式でいうところの位牌にあたるものです。

この「通夜祭」と「遷霊祭」が、仏式葬儀で言う「通夜」にあたる儀式です。
本来、通夜祭と遷霊祭は別々の儀式なのですが、現在は通夜祭のあとに続けて行われることが多くなっています。
遷霊祭が終わると、仏式葬儀で言う通夜ぶるまいにあたる直会(なおらい)の席が設けられるのが一般的です。

神式の場合「葬場祭」が仏式の葬儀にあたる

故人との最後のお別れの日に行う「葬儀」という言葉も、本来は仏式葬儀で使用する言葉です。
神式葬儀の場合は、葬儀にあたる儀式のことを、「葬場祭(そうじょうさい)」といいます。
仏式葬儀における葬儀が、故人の成仏を祈り、弔う儀式であるのに対し、葬場祭は死のけがれを清め、故人をその家の守護神としてまつることが目的です。

神式葬儀でも告別式を行うのが一般的

仏式葬儀では、故人と最後のお別れをする儀式として、葬儀のあと告別式を行います。
同じように神式葬儀でも、葬場祭を終えたあとは告別式を続けて行うのが主流です。ただし場合によっては、葬場祭と告別式とを兼ねて行われることもあります。

神式葬儀で覚えておきたい作法

神式葬儀の作法(1)手水の儀

神式葬儀の通夜祭や葬場祭を執り行うときは、その前に手水(てみず・ちょうず)の儀を行うことが一般的です。
手水の儀は、ひしゃくの水を使い、手と口を清めることです。普段の参詣や初詣をはじめ、お宮参りや七五三など、人生の節目で神社を参拝する際にも行う儀式です。葬儀以外の場でも行う機会がある作法なので、覚えておくといいでしょう。

手水の儀の作法

  1. 右手にひしゃくを持ち、水をくんで左手を洗う。
  2. ひしゃくを左手に持ち替えて、右手を洗う。
  3. もう一度右手に持ち替えて、左手に水を受けて口に含み、軽く口をすすぐ。
  4. 再び左手を洗う。
  5. ひしゃくを立てて、柄の部分に水を流して清める。
  6. ひしゃくを元の位置に戻す。

神式葬儀の作法(2)修祓の儀

神式葬儀では、斎主が入場し着席すると、まず修祓(しゅばつ)の儀という儀式を行うことが多いです。斎主とは、葬儀を司る神官のことです。修祓の儀は、斎主が、大麻を使って斎場や参列者、神様へのお供え物である神饌を清め、お祓いをする儀式です。
修祓の儀の最中は、頭を下げるのが作法です。深く頭を下げるようにしましょう。

神式葬儀の作法(3)玉串奉奠

玉串奉奠(たまぐしほうてん)は、手水の儀や修祓の儀と同じように、神式葬儀で覚えておきたい作法の一つです。
仏式葬儀において、故人の冥福を祈るためにお焼香をするように、神式葬儀では玉串奉奠によって故人の霊の平安を祈り、玉串を祭壇にささげます。
玉串とは、榊の枝に紙垂(しで)とよばれる紙片をつけたもののことです。
手水の儀と同じように、玉串奉奠は慶弔問わず神道の儀式で行う儀式です。葬儀の場以外でも行う機会があるかもしれないので、正しい作法を身に着けておきましょう。

玉串奉奠の作法

  1. 斎主に一礼し、玉串を受け取る。
  2. 玉串の榊は根元が右にくるように渡されるので、右手で根本近くを上からつかみ、左手で下から支え、ささげるように持つ。
  3. 祭壇の数歩前まで進み、玉串を胸もしくは目の高さにささげて一礼する。
  4. さらに進み出て、玉串を時計回りに回転させ、榊の根元が手前になるようにする。
  5. 左手を根元のほうにずらし、右手から左手へと持ち替える。反対に右手は葉先の下から添える。
  6. 時計回りに180度回して玉串の根元を祭壇に向ける。
  7. 左手は玉串の下から支えるようにして持ち、そのまま玉串を祭壇の前の台に置く。
  8. 3歩ほど下がり、2回深く礼(二礼)をする。
  9. 2回忍び手を打ち(二拍手)、再び深く一礼して数歩下がる。
  10. 遺族と斎主に一礼し、席に戻る。
忍び手とは

忍び手とは、かしわ手を打つ時に、手のひらを合わせる寸前に止めて、音を立てずに拍手を打つことです。

玉串は歩きながら回さない

受け取った玉串は、回してから祭壇に供えますが、歩きながら回すのはマナー違反です。祭壇の前で立ち止まってから回すように意識しましょう。

神式葬儀の作法(4)その他のマナー

斎主が拝礼をするときは、参列者もそれにならう

神式葬儀では一連の流れの中で、何度か斎主が拝礼をする場面があります。斎主が拝礼をするときは、参列者もそれにならい、拝礼をするのが作法です。

斎主の入退場時は一礼をする

神式葬儀に限ったことではありませんが、葬儀を司る宗教者に対しては敬意を示すことが大切です。
神式葬儀でも、斎主が入退場するときは一礼をして出迎え、見送るのがマナーです。

神式葬儀のルーツ

古事記や日本書紀の時代からある日本古来の葬儀形式

現在の日本では、仏教を元にした仏式葬儀が一般的ですが、神式葬儀は古事記や日本書紀といった古来から続く、日本独自の葬儀方法です。
神式葬儀の根本は、日本に古来から存在する、神道です。神道は、始祖を氏神(うじがみ)として崇め、祖先を自分たちの守り神として考える、先祖崇拝の宗教です。
神道の考えをルーツに持つ神式葬儀では、人は死後、先に守護神となった祖先たちの仲間入りをするとともに家に留まり、自分も家族や親族を見守る守護神となる、と考えられています。

神道における「死」は「けがれ」を意味する

神式葬儀の特徴は、自宅か斎場でしか行われないことです。神道において、「死」は「けがれ」であり、神聖な場所である神社をけがしてはいけないと考えるからです。
仏式葬儀やキリスト教式葬儀などでは、寺院や教会で葬儀が行われることがありますが、神式葬儀の場合はほとんどないと考えていいでしょう。

神式葬儀の作法は覚えておくと慶弔問わず使える

神式葬儀以外の場でも慌てずすむよう、一通りの作法を覚えておこう

神式葬儀は、日本に古来から存在する神道をルーツに持つ葬儀形式です。
人によっては、仏式葬儀に比べ神式葬儀に参列する回数は少ないかもしれません。ですが、手水の儀は、日常生活で神社にお参りするときにも行い、玉串奉奠も慶弔両方の儀式で行う作法の一つです。神式葬儀の作法を一通り覚えておけば、いざという時落ち着いて行動できるのではないでしょうか。

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