2017.12.27

葬儀参列者の「服装」と「持ち物」~子供や男性・女性の恰好を解説

葬儀参列者の「服装」と「持ち物」~子供や男性・女性の恰好を解説

葬儀に参列するとなれば、服装と持ち物の準備が必要です。
「葬儀=喪服=黒」というイメージが一般的ですが、葬儀は普段と違い、フォーマルなシチュエーションです。「失礼のない恰好をしないと・・・」と思う人ほど、服装の細かい部分で「こんな時はどうすればいいんだろう?」、「正しいマナーってなんだろう?」と不安になることが多いのではないでしょうか。「自分はともかく子供の服装で悩む・・・」というケースもあるかもしれません。
今回は、「これなら大丈夫!」という恰好で参列できるよう、子供や男性、女性それぞれの、葬儀にふさわしい恰好について解説します。

子供の葬儀の服装を準備する前に・・・

まず「子供と一緒に参列するか」を考える

子供の服装や持ち物を準備する前に、一緒に参列するかどうかは慎重に判断しましょう。幼児の参列は、控えるのが一般的だからです。
子供自身、慣れない場所で、長時間静かにし続けることに耐えられるかどうかという問題もあります。
子供の友達や、お世話になった人が亡くなったなどで一緒に参列する場合も、子供から目を離さないように気をつけましょう。場合によっては外で待機するなどしてもかまいません。葬儀の場の雰囲気を乱さないように努めることが大切です。

子供が葬儀に参列するときの服装と持ち物は?

通っている学校の制服を着用する

制服は子供にとっての礼服です。男の子も女の子も、通っている幼稚園や学校の制服があれば、新しく葬儀用の服を買う必要はありません。靴下や靴は黒か白の地味な色で整えます。制服の靴下や靴がシンプルなデザインなら、そのまま着用して問題ないでしょう。

制服がない場合は地味な色で服装を整える。

子供の制服がない場合は、黒や紺、グレーなどの地味な色で服装を整えます。
男の子なら白いシャツにブレザーとズボンが一般的です。
女の子なら白いシャツにブレザーとスカートか、シンプルなデザインのワンピースでもかまいません。靴下や靴は、黒や白といった地味な色のもので合わせましょう。

新生児の服装は控えめな色であればOK

新生児は、黒や白といった地味な色の服がなければ、ベージュや水色のように控えめな色であれば着用してかまいません。
元々新生児用の服は、かわいらしいデザインのものが多いものです。葬儀用に探しに行っても、なかなかシンプルな色やデザインの服は見つからないかもしれません。色やデザインに固執して参列に間に合わないよりは、手持ちの控えめな色目の服を着せてもきちんと見送るほうが、故人や遺族からも喜ばれるはずです。

子供が葬儀の服装で注意すること

明るい色を避ける

子供が葬儀に参列する場合は、大人に比べると厳密な決まりは多くありません。ピンクやオレンジといった明るい色を控えれば差し支えないでしょう。

女の子は髪飾りのデザインを控えめに

女の子が髪飾りを付ける場合は、シンプルで地味な印象の髪飾りか、身に着けないのがマナーです。葬儀はお祝いごとではなく、故人を見送る場です。キラキラ光るものや、豪華に見えるものは控えましょう。小さな女の子は「かわいい髪飾りをつけるのが大好き」ということも多いですが、「今日はいつもと違う大事な日なんだよ」と伝えて、理解してもらいましょう。

葬儀にふさわしい男性の服装や持ち物は?

葬儀の服装はブラックスーツ

男性が葬儀に参列する場合は、ブラックスーツの着用が一般的です。ブラックスーツは日本で準礼装にあたり、上下ともに黒色の背広です。
上着はダブルブレストでも、シングルブレストでも構いません。ズボンは上着と同じ生地(共布)でそろえ、ズボンの裾は折り返しをつくらないシングルにします。折り返して縫うダブルは、あとから裾の調整も可能で便利ですが、フォーマルではシングルが正式です。

シャツや小物はシンプルで無地のものを身に着ける

葬儀では、スーツに合わせるシャツは白無地、ネクタイと靴下は黒無地のものを着用します。ベルトやカバンも黒色で、余分な飾りがないシンプルなデザインのものを合わせましょう。

男性の準礼装とは

礼装の中で、正礼装を省略化した服装のことです。
昼間はディレクタースーツ(背広型の黒い上着に縞柄のコールズボン)、夜間はファンシータキシード・スーツ(黒以外の上着のタキシードや、パーティ用と分かる高級な生地のスーツ)が該当します。
ブラックスーツは、日本でのみ、独自に準礼装として扱われ、冠婚葬祭で着られる礼服です。本来準礼装より格下の略礼服です。

ダブルブレスト・シングルブレストとは

ダブルブレストは洋服の上着の前身頃が広く、ボタンが二列になっているものです。シングルブレストは、上着のボタンを一列に留めるスタイルです。

男性が葬儀の服装で注意すること

葬儀の場にビジネススーツはNG

葬儀に参列する場合は、ブラックスーツを着用するのがマナーです。「黒無地のビジネススーツならいいのでは?」と思われるかもしれませんが、ビジネススーツとブラックスーツとでは、質感が異なります。
自分では分からなくても、いざ参列者の中に並んで立つと目立つことが多いです。故人を弔う気持ちがあるなら、葬儀にはビジネススーツの着用を控えましょう。

ブラックスーツとビジネススーツとの違い

ブラックスーツは、一般的にウール素材でできており、生地に厚みがあり、光沢やテカリがないスーツのことです。色味も、黒無地のビジネススーツに比べて、より深い黒色に仕上げられるのが特徴です。デザインはシンプルで、流行に左右されないオーソドックスな形で作られることが多いです。冠婚葬祭ごとに、長年にわたって使用する可能性が高いためです。

対するビジネススーツは、生地にポリエステルが含まれることが多く、ストライプなど織りや柄が入ったものもあります。色目も黒、グレーや紺などバリエーションに富み、デザインも流行に合わせて変わるのが特徴です。

ネクタイピンは身に着けない

葬儀に参列するとき、光るものや華美な装飾、アクセサリーは原則タブーです。ネクタイピンもアクセサリーの一つとみなされるため、外すのが基本です。
「つい、いつもの習慣で身に着けてしまった」、と会葬の途中で焦らないよう、気を付けましょう。「ワンポイントほしいなぁ」と思われるかもしれませんが、葬儀はおしゃれの場ではなく、故人を弔う場としてとらえるようにしましょう。

地域によってはタイタック、カフスボタンは着用可能

タイタックやカフスボタンの着用は、地域によっては問題ない場合があります。着用するタイタックは、「涙」の象徴とされる真珠や、ブラックオニキスのような黒っぽい色の素材が適しています。カフスボタンも、ブラックオニキスのような地味な印象のものにしましょう。

ただし、葬儀にはさまざまな人が訪れます。地域的に着用することは問題なくても、気にする人はいるかもしれません。タイタックの場合は、一見して分からないようにする留め方もあるようですが、周囲から見て悪目立ちしないようにする配慮も必要です。

葬儀にふさわしい女性の服装は?

葬儀の服装はブラックフォーマル

女性が葬儀に参列するときの服装は、黒無地のスーツかアンサンブル、ワンピースといった準礼装が一般的です。
光沢がない素材で、肌の露出を避けるために透ける素材は控えます。襟元が詰まったデザインで、スカート丈はひざより下のものを選びましょう。上着は長袖か、短くても七分丈まであるものが基本です。

ブラウスやバッグ、足元は黒で統一する

ブラウスを着用する場合は、黒色のものを合わせます。バッグは光沢のない黒色で、布製の小型バッグを持つのが一般的です。足元は黒のストッキングを着用し、光沢がなく、紐もついていない、シンプルなデザインの黒い靴を履きます。

女性の準礼装とは

男性と同じく、礼装の中でも正式な礼装を省略化した服装のことです。同じ格式でも、時間帯により、昼間はセミアフタヌーンドレス(スーツやワンピース)、夜間はディナードレスやカクテルドレス(昼間より華やかな素材のワンピース)と、着用する洋服が分かれます。色やデザインについても、冠婚葬祭のシチュエーションによって、それぞれふさわしいものが異なります。

パールやブラックオニキスなどのネックレスをつける

女性の準礼装(洋装)では、ネックレスをつけるのが正式です。葬儀では、光沢をおさえたパールか、ブラックパール、ブラックオニキスのような黒っぽい素材のネックレスを身に着けるのが一般的です。イヤリングはつけてもつけなくてもかまいません。身につける場合は、ネックレスと同じパールやブラックオニキスなどを合わせましょう。

着物を着る場合は色無地と喪帯を合わせる

茶道や日本舞踊などに関係がある人の中には、着物で葬儀に参列することがあるかもしれません。着物で葬儀に参列する場合は、和装の準礼装にあたる、紋つきの色無地着物と黒喪帯を合わせるのが一般的です。
色無地着物は、染め抜きの三つ紋か一つ紋を入れ、グレー、藤色、水色といった地味な色を身に着けます。地紋は、流水や雲取りなどであればかまいませんが、おめでたい吉祥文様は避けます。
小物は白の長襦袢と半襟、足袋を合わせます。帯揚げ、帯締、草履、バッグは、光沢のない黒色を身に着けましょう。

女性の葬儀の服装で気を付けること

二連のネックレスや揺れるデザインのイヤリングはタブー

葬儀で身に着けるネックレスは、二連のデザインを控えるのがマナーです。二連は「二重=不幸が重なる」ということから、縁起が悪いためです。イヤリングも、一粒で揺れないを身に着けます。ゆらゆら揺れるイヤリングは、華やかな印象を与えやすいので避けるのが基本です。

結婚指輪、婚約指輪以外のアクセサリーは身に着けない

ネックレスとイヤリング以外に、葬儀の参列者が身に着けられるアクセサリーは、結婚指輪と婚約指輪です。指輪は公の場で身分を明らかにするために認められます。

高すぎるヒールや、カジュアルな靴はタブー

フォーマルな場所である葬儀では、5㎝ほどヒールがある靴を履くのがマナーです。5㎝より高いヒールだと、華やかな印象になるため、葬儀には不向きです。反対に、ぺたんこの靴や、ブーツ、ミュール、サンダルはカジュアルな印象になるため、葬儀には適しません。

タイツの着用は基本的にNG

寒い時期はタイツを着用したくなりますが、葬儀では基本的にタブーです。ただし、地域によっては、30~40デニール程度の薄手であれば、許容範囲になることもあります。妊娠中や病気などで体をいたわりたいときは、葬儀に出席する親しい人に相談してみてもいいかもしれません。

薄化粧に整え、髪はすっきりとまとめる

葬儀に参列するときは、薄化粧がベストです。ノーメイクは失礼ですし、濃いメイクもふさわしくありません。髪の毛はお団子や一つにまとめるなどして、だらしなく見えないようスッキリさせましょう。金髪のように明るすぎる髪色は、スプレーなどで一時的に黒くするのがマナーです。
意外と忘れがちなのが手元です。マニキュアは落としていくのが基本です。万が一ジェルネイルのような、すぐに落とせない状態のときは、黒レースの手袋を着用するなどして、周囲に配慮をしましょう。

男性、女性に共通する葬儀の服装の注意点

コートやストールを羽織る場合は、カジュアルなデザイン、毛皮素材を避けること

寒い時期に行われる葬儀では、屋外でコートを着たり、ストールを巻いてもかまいません。コートやストールは、黒や濃いグレーといった地味な色で、シンプルなデザインのものを着用しましょう。
ただし、ジャンパーやダウンジャケットはカジュアルな印象を与えるため、着用を控えます。「殺生」を連想させる、毛皮や革製のコートも避けましょう。

靴は光沢のない黒革靴で、バックルなどの金具もついていないものを選ぶ

靴はエナメル素材のような光沢がある素材や、ハ虫類の革靴を着用しないことがマナーです。靴のデザインも、バックルのような金具や、余分な飾りのついているものは避けましょう。光るものや「殺生」を連想させるものは葬儀にはふさわしくありません。

ハンカチも黒やダークカラーで合わせる

葬儀に参列するときは、ハンカチも黒やダークカラーのものを持ち歩きましょう。細かい部分ですが、明るい色のハンカチは、喪服の中で思ったより目立ちやすいです。出かける前にもう一度カバンの中身をチェックしてから出かけましょう。

葬儀・告別式と通夜は同じ服装でいい?

通夜・告別式は同じ準礼装でOK

通夜の服装は、男性、女性、子供ともに、告別式と同じ準礼装に整えるのが一般的です。
準礼装を用意する時間がないときや、会社から直行する場合などは、略礼装でもかまいません。本来、通夜は式ではなく、夜の間故人をしのび、棺を守ることだからです。
略礼装は、男性は濃グレーや濃紺などのダークスーツです。スーツは色無地以外に、目立たなければストライプ柄が入っていてもかまいません。シャツは白無地、ネクタイと靴下は黒や地味な色のものを身に着けましょう。
女性は紺やグレーといった地味な色のスーツやワンピース、もしくは黒無地のブラウスとスカートを着用します。ストッキングは肌色でもかまいません。パンツスーツで参列する場合は、男性の服装に準じます。

仮通夜/亡くなった直後に駆けつける場合

亡くなった直後に行われる仮通夜や、訃報を聞いて慌てて駆けつける場合などは、地味な平服に整えます。「訃報を聞いて取り急ぎ駆けつけました」、「亡くなったなんて信じられない」という気持ちを表現するためです。

喪服を着るのはNG

仮通夜や、亡くなった直後に駆けつける場合、喪服を着ていくのはタブーです。「故人の死を予期し、準備万端で待っていた」という考え方が残っているからです。悪い印象を与えないよう、いつでも「訃報=喪服」と思わず、状況に合わせた服装を心がけましょう。

葬儀の服装や持ち物を用意するとき意識したいこと

故人の死を悼み、遺族をいたわる気持ちが大切

準礼装のような礼服は、葬儀に着ていく場合「喪服」と呼ばれます。「喪服」は、本来喪に服する遺族だけが着るものでした。現在の日本で、参列者も礼服を着用するのが一般的なのは、故人の死を悼む気持ちを表すためといわれています。
葬儀の服装は、「これはいいけど、あれはだめ」と細かい決まりが多いです。一見面倒にも思えますが、マナーを守ることが、故人の死を悲しみ、遺族をいたわる気持ちを表すことにつながるのではないでしょうか。

葬儀の「服装」や「持ち物」はマナーを守って場に適したものを身に着けよう

葬儀の服装や持ち物で迷ったときは信頼できる人に相談しよう

葬儀の服装や持ち物は、子供や男性、女性ともに、華美なものを避けることが基本です。特にアクセサリーや靴などの小物は、普段と同じ感覚で身に着けないよう注意しましょう。大切なことは、故人の死を遺族とともに悲しみ、弔う気持ちです。
葬儀の服装は、地域によって自由度が異なります。もし葬儀の「服装」や「持ち物」で迷ったときは、年配の方や周りの人、あるいは専門知識をもつ葬儀社などに相談してみてください。

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