2018.1.26

喪服とは|失礼に当たらない男性と女性の服装

喪服とは|失礼に当たらない男性と女性の服装

喪服は、普段と違うフォーマルな服装です。いつも着る服ではないからこそ、失礼にならない装いにしたいものですよね。
今回は、男性と女性それぞれが基本となる喪服のスタイルと、気を付けたいポイントについてご紹介します。

喪服の定義

喪服とは?礼服と喪服との違い

喪服は、葬儀や法事など弔事の席に着ていく服装をいいます。近しい人を亡くしたあと、しばらくの間「喪に服す」という言葉を使うことがありますが、喪服はこの言葉から来ているといわれています。本来は大切な人を亡くした遺族が着る服でしたが、現在は参列者も悲しみに寄り添う意味で着用するのが一般的です。

喪服は礼服のひとつ

喪服と似た言葉で、礼服という言葉を聞かれたことはありませんか?
喪服を用意しようと思って買い物に行くと、礼服売り場に案内されてよくわからなくなった、という人もいるかもしれませんね。
礼服は、冠婚葬祭で着る正装全てを指す言葉です。喪服は冠婚葬祭の中の「葬」で着る服なので、礼服という大きなカテゴリーの中に、喪服も入っているとイメージするといいかもしれません。
礼服、という言葉には喪服も含まれるので、「お葬式に礼服を着る」という言い方をしてもかまいません。

喪服の格

礼服のようにフォーマルな服装には、シチュエーションにあわせたふさわしい恰好や、格式が存在します。反対に、礼服はビジネスシーンでは着用しないのもマナーです。
礼服のうちのひとつ、喪服にも「正喪服」、「準喪服」、「略喪服」と格式が存在します。正喪服は喪主や遺族が着る喪服です。参列者の場合は、準喪服もしくは略喪服にあたる服装をするのがマナーです。
喪服の色は黒と決まっています。ただし、黒も染め具合によって違いが生まれます。喪服では何度も染め直された深く濃い黒、光沢のない漆黒に近いような喪服ほど、格式が高いといわれています。

喪服の基本ルール

服の色は黒白が基本|モノトーンにまとめる

喪服の基本は、黒と白のモノトーンです。
意外と目立ちやすい、ハンカチや扇子のような小物も、黒白を基本に考えましょう。
女性の場合はバッグも黒で、布地のものを持つのが一般的です。万が一荷物が多くなったときのために、風呂敷か、黒の手提げを持っておくのもおすすめです。
小物について詳しくは、こちらの記事をご参照ください。

男性のワイシャツは白、女性は黒ブラウスを着用

スーツに合わせるシャツは、男女で着用する色が違うので注意が必要です。
男性の場合は、ワイシャツの色は白無地が原則ですが、女性がスーツを着用する場合は、黒いブラウスが基本です。男性とはルールが異なるので気を付けましょう。

「目立たないこと」が重要

喪服を着用するときに大切なことは、目立たないことです。葬儀というシチュエーションは、普段のようにおしゃれを楽しむ場所ではありません。大切な人を亡くした遺族に配慮し、故人の死を悼む気持ちを表すためにも、控えめに全体のバランスを整えましょう。

女性はメイクや髪型にも気を遣おう

女性の場合、葬儀に参列するときはラメや原色など、華やかなメイクは控えましょう。とはいえノーメイクもマナー的に失礼なので、ナチュラルメイクがベストです。
髪の毛も、ロングヘアの場合は黒ゴムやピンを使い、清潔感のある髪型に整えます。明るいカラーにしているときは、一時的にスプレーで黒くするか、小さくまとめ髪にします。
葬儀に参列する時は、香水やネイルもタブーです。もしネイルをとる時間がない場合は黒の手袋を活用しましょう。

光り物は基本的に身に着けない

喪服を着るときは、光り物であるアクセサリーや、靴の金具にも注意を払いましょう。

アクセサリーは最低限

喪服の基本として、アクセサリーは最低限しか身に着けないのがマナーです。
男性は結婚指輪のみがベストで、ネクタイピンもつけないように注意しましょう。カフスボタンやタイタックは、本来パールや黒オニキスなどであれば問題ないですが、最近はつけないのが主流です。腕時計やベルトも身に着けないのが原則です。ただし、最近は金色など派手な色を避け、目立たないデザインであれば着用してもかまいません。
女性は結婚指輪以外に、婚約指輪やネックレス、イヤリング程度のアクセサリーにとどめます。ファッションリングは外すようにしましょう。もし指輪の石が目立ちすぎると感じたら、内側に回すなど配慮をしてください。ネックレスやイヤリングの素材も、パールか黒オニキス、黒べっ甲、黒サンゴなどに限られます。ネックレスは一連のものを身に着けてください。カジュアルな印象が出やすいロングネックレスや粒が大きいものも避けましょう。

靴は金具や飾りがないものを

喪服に合わせる靴は黒色で、金具や飾りがついていない、シンプルなデザインのものにしましょう。シンプルでも、エナメルのような光沢があるものは避けます。
男性はストレートチップの内羽式、女性はサテンのような布地のパンプスが一足あると便利です。女性はマタニティでない限り、ヒールも3~5㎝程度あるものを着用するのが一般的です。

殺生を連想させるものを身に着けない

特に仏式葬儀では、殺生を連想させるものはタブーです。例えば、は虫類系の革でできたベルトや腕時計、靴やカバン、毛皮のコートなどはNGです。

男性の喪服

ブラックスーツが基本

男性が葬儀・告別式に参列する場合は、準喪服にあたる上下黒のブラックスーツを着用する
のが基本です。通夜に参列するときも、着替える時間があればブラックスーツを着るのが一般的です。

ワイシャツの襟はレギュラーカラー

男性のワイシャツは白無地で、できれば襟はレギュラーカラー、袖はシングルがベストです。ただし、通夜の席ではボタンダウンシャツでもかまいません。

ネクタイや靴下は黒無地

ネクタイや靴下も、喪服に合わせて黒無地を用意しましょう。ネクタイはできるだけ光沢もないほうがベターです。

デザインは、シングル、ダブル、三つ揃いいずれもOK

男性のスーツの上着は、ボタンの配列にシングルとダブルとがあります。ブラックスーツの場合は、どちらのデザインでもかまいません。ボタンのデザインで、格の違いがあるということはないようです。ベストが揃った、三つ揃いのものでもOKです。ただし、上着と共布で、黒色のもの原則です。
ズボンの裾については、裾の折り返しがないシングルが正式とされます。

通夜、三回忌以降の法要はダークスーツでもOK

最近は通夜でもブラックスーツが主流ですが、本来は略喪服であるダークスーツでもかまいません。ダークスーツとは、濃紺、濃いグレーなどの色目のものです。目立たない程度ならストライプ柄が入っていてもOKです。ネクタイも地味な色であれば問題ありません。

仮通夜で喪服はNG

仮通夜は、亡くなった日の夜に行われる儀式です。急いで駆けつけることがほとんどなので、喪服は着ないのがマナーです。喪服を着ていると、「用意して待っていました」という印象をあたえ、かえって失礼です。地味な色の平服で向かいましょう。

男性の喪服準備、注意したいポイント

黒いビジネススーツと喪服は違う

男性のスーツは多種多様で、黒と言えば喪服というわけではありません。ビジネススーツにも、黒い色のものはあります。とはいえ、黒のビジネススーツは喪服にはなりません。
喪服は昼夜関係なく、いつ見ても光沢のない深い黒色です。対する黒のビジネススーツは、光を反射し、グレーに見えることがあります。
黒のビジネススーツが光を反射するのは、喪服とは生地の織り方自体が異なるからです。自分では同じように見えても、喪服の中に並ぶと、一目瞭然であることが多いので注意しましょう。
一方で喪服を日常のビジネスシーンで着用するのも違和感があります。喪服は喪服、ビジネススーツはビジネススーツで使い分けるようにしてください。ブラックスーツは、紳士服売り場の中でも、「礼服売り場」のコーナーに置かれていることが多いです。オールシーズン対応のものが一着あると便利です。

極力荷物は減らして、手ぶらがベスト

男性の場合、カバンについては特別決まりがあるわけではないようです。ただフォーマルな場なので、最低限の荷物を意識しましょう。お香典や数珠など、必要なものはスーツのポケットに収納し、手ぶらで行ければベストです。セカンドバッグを持つ場合は、黒色の地味なデザインのものにしましょう。
仕事先から駆けつける場合はカバンを持っていることが多いですが、ショルダーバッグの場合は肩にかけず、紐を短くして手に持つよう、工夫しましょう。預けられる場所があれば利用するほうがおすすめです。

女性の喪服

ブラックフォーマルが基本

女性が葬儀・告別式に参列する場合は、準喪服にあたる、ブラックフォーマルに整えます。ブラックフォーマルは、黒のワンピースやアンサンブル、スーツなどで、男性に比べるとバリエーションがあります。

首元、襟ぐりのつまったデザイン

女性の喪服は、着用したときの肌の露出が少ないことが大切です。
ワンピースは襟ぐりが詰まっているもの、ジャケットもノーカラーやスタンドカラーなど、首元がつまったデザインのものを選びましょう。

ワンピースの袖丈は七分丈以上のもの

ワンピースの袖丈は、ジャケットを着用しない場合、七分丈以上、もしくは長袖がいいとされています。
春から初夏、秋口など、ジャケットを着ていると暑い時期は、ワンピースの袖丈が五分丈ほどでもかまいません。ただし、儀式の間はジャケットを羽織るのがマナーです。ジャケットやカーディガンを持参しましょう。略喪服の場合も同様です。

スカート丈は最低でもヒザ下以上

喪服のスカート丈は、ヒザが完全に隠れるようにするのがマナーです。
参列者の場合は、ヒザ下5㎝以上あるものを選びましょう。正座した時に膝が見えない程度の丈感が大切です。Aラインやフレアなど、デザインはお好みですが、ミニスカートはタブーです。スリットはタイトスカートのように、動きやすさをつくるためのものであれば問題ありません。

スカート丈は長いほど格式が高い

喪服のスカート丈は、ロング丈になるほど格式が高くなります。最も格が高いとされるのがくるぶしまであるロング丈です。ヒザ下5㎝ほどの長さが一般的なのは、参列者は遺族側より格上の服装をしないのがマナーだからです。
30代後半以降に喪服を新調する場合は、ふくらはぎくらいまである丈のものを選んでもいいでしょう。親族側で参列する機会が増えるからです。
ロング丈は、60代以降から着用するのが一般的です。ですが近所づきあいが親密な地域や、年配の人が多い地域では、弔意を示すため、参列者でもロング丈を着用することもあります。

スーツはスカートの方が格上

喪服にスーツを着用する場合は、パンツスタイルでもかまいませんが、スカートのほうが格が高いとされています。

黒のストッキングを着用

ストッキングは、喪服と同じ黒色を合わせるのがマナーです。やぶれたときのことも考えて、予備を持参することをおすすめします。
肌色のストッキングは、通夜であればかまいません。タイツについては、寒い地域の場合は着用してもいいケースがありますが、一般的には避けたほうが無難です。

通夜、仮通夜の服装

女性も、通夜に参列する際、着替える時間があればブラックフォーマルを着用するのが一般的です。ただし、仕事先から駆けつけるときや、三回忌以降の法要については、略喪服にあたるダークスーツやワンピースでかまいません。ダークスーツで、パンツスタイルの場合は、男性のマナーに準じます。
仮通夜に駆けつける場合は、男性と同じく、地味な平服に整えましょう。急な弔問や、お清めのお手伝いの場合は、白いブラウスでもOKです。

喪服に着物を着るときは、紋付きの色無地と喪帯

一般的に喪服に着物を着ることは、親族の場合が多いですが、参列者も着物を着るという選択肢はあります。
参列者が着物を喪服とする場合は、グレーや藤色など地味な色の無地に、黒の喪帯を締めるのが一般的です。紋が入ったものは葬儀・告別式にも使える準喪服になります。反対に紋が入らなければ、略喪服として着用できます。小物は白、草履とバッグは黒で合わせましょう。

女性の喪服準備、注意したいポイント

「10年使う」つもりで喪服選びを

喪服を新調する場合は、10年後まで使うつもりでデザインを選ぶのがおすすめです。
喪服はおしゃれを楽しむものではないですし、普段着に比べ、着用機会が少なく流行あまりないからです。
体型が変化する可能性も考え、少し大きめのサイズを購入しておくと安心です。しわになりにくいポリエステルのような素材で、オールシーズン対応の喪服が一着あると便利です。

レースやリボンのポイントづかいはOK

喪服の格としても、シンプルな黒無地が最も格上といわれます。
ですが、控えめなレースや刺しゅう、バイピングやアクセントで使われるサテンなど、華美になりすぎない程度のデザイン性はOKです。シフォンのような透け感のある素材も、袖などの部分使いならかまいません。
ただし、透け感がある場合は下着にも気を使い、体のラインがはっきり出るようなものは避けましょう。カットソーやニット素材はカジュアルになりすぎるため、インナー程度に利用しましょう。

夏用、冬用と喪服を分けて気温対策をしてもOK

夏場の法事に列席者として出席する場合は、三分丈~五分丈の半そででもいいといわれています。最近は袖がシースルーになったワンピースやアンサンブルもあるので、暑さ対策に用意しておいてもいいでしょう。儀式の間はジャケットやカーディガンを着用できるよう、持参するのを忘れずに。
反対に冬用の喪服を用意する場合は、ウール素材がおすすめです。

手袋はお焼香のとき外すこと

手袋を着用するときは、お焼香を行うときに外すのがマナーです。ただし神式葬儀の玉串奉奠や、キリスト教式で行う献花では外す必要はありません。

冬場に喪服をきる場合

屋外でのコートの着用はOK

真冬の寒い時期は、屋外でコートを着用しても失礼にはあたりませんが、屋内に入るときやお焼香時、出棺のときは脱ぎましょう。

コートは地味な色で、シンプルなデザインを

黒や紺、濃いグレーなど地味な色で、ウール、カシミヤといった素材のものを着用しましょう。
シンプルなデザインであれば問題ありませんが、ダウンジャケットはカジュアルな印象になりやすいので控えます。殺生を連想させるレザー素材も避けましょう。
マフラーや手袋も同様です。

喪服はおしゃれよりも、場にふさわしい服装を

一式喪服をそろえておけば、いざというとき安心

喪服は葬儀、法事と、弔事の場に出席する場合は必要な礼服です。男性、女性ともに細かなマナーはありますが、一度一式そろえ、クローゼットの一角にまとめておけば、いざというとき迷うことなく安心です。
女性は男性よりもデザインのバリエーションが豊富ですが、意識したいのはあまり華やかになりすぎないことです。あくまで喪服、という意識をもって場にふさわしい服装になるようにしましょう。

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