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精進落としとは?一般的な流れやポイント
精進落としは、葬儀が終了したあと、僧侶や親族に設ける会食の席です。
葬儀の準備や進行を支えてくれた僧侶や親族をねぎらい、感謝を表す意味合いが強いです。今回は、精進落としの流れやポイントについてご紹介します。
精進落としの目的
僧侶や親族の労をねぎらう
精進落としは、葬儀が全て終わったあとに設けられる宴席です。僧侶や親族の労をねぎらい、感謝するための意味合いが強いといわれています。
精進落としは、宗派・宗旨によって精進上げ、お斎と呼ばれることもあります。
精進落としの準備
精進落としの場所を決める
精進落としの準備は、まず会場をどこにするかを決めることです。
一般的には、自宅や斎場で仕出しをとる、料亭で行うというケースが多いです。
葬儀場が火葬場と一体化している場合は、火葬中に行うことも
地域によっては、葬儀場と火葬場とが同一施設内である場合があります。一体化している場合は、火葬中に精進落としを行うケースもあります。
宴席を設けない場合や、金品を包んで渡すことも
葬儀の形式や、遺族の意向によっては、宴席を設けず折り詰め料理を配ることで精進落としとする場合もあります。ほかにも、地方によっては金品を包んで渡すようなケースもあります。
精進落としは慰労の意味が強いです。会食の席を設けないつもりであれば、事前に親族間で相談し、話をすませておくほうがいいでしょう。
出席者の確認
精進落としは、火葬を済ませ、全ての葬儀の儀式を終えたあとに行うので、招待客は僧侶や近親者となるのが基本です。準備の都合もあるので、精進落としまで出席してもらえるか、確認できる人だけでも聞いておきましょう。
僧侶が出席しない場合はお膳料とお車代を包む
葬儀社に頼んで僧侶を紹介してもらった場合をはじめ、僧侶との縁があまり深くない場合などは、精進落としの席を僧侶が辞退することがあります。
僧侶が出席しない場合は、お膳料という名目でお礼をするのがマナーです。会場まで足を運んでもらった場合は、お車代も用意しましょう。お膳料は食事代、お車代は交通費です。渡すときは、お布施と一緒に渡しましょう。
すでに料理の用意ができている場合は、折り詰めにして渡します。
精進落としの料理を決める
精進落としの料理は、会席料理を用意することが多いです。料理の手配は、人数が多少前後してもいいように、少し余裕を持たせて注文しておくほうがベターです。
引き出物の用意
地域によっては、引き出物を渡す場合もあります。人数がある程度確認出来たら、引き出物の準備もしましょう。
精進落としの流れ
精進落しのタイミングは「火葬後の法要」の後
本来精進落としは、四十九日の忌明け後に行われるものでした。しかし現在は、葬儀当日、火葬場から戻り、環骨法要や付七日を終えたあとに設けられるのが主流です。
環骨法要とは
火葬後、仏具やお花などを飾った、後飾りの祭壇の前に集まり、読経をあげ、お焼香をすることです。僧侶が火葬場へ同行しない場合は省略されることがあるほか、宗派・宗旨によって、環骨勤行や回向などと呼ばれることもあります。
付七日とは
初七日法要のことで、繰上初七日と呼ばれることもあります。本来は亡くなった日から数えて7日後に行うのが初七日法要ですが、最近は葬儀当日に合わせて行うことが多いです。環骨法要の読経のあと、続いて初七日法要を行う場合は、付七日と呼ばれます。
席につく
精進落としの席に案内するときのポイントは、一番上座に僧侶、次に世話役、友人、親族の順でついてもらうことです。喪主は一番下座に座ります。喪主・遺族は接待をする側なので、末席に座るのがマナーです。
開始のあいさつ
全員が席に着いたら、喪主が開始のあいさつをします。
地域によっては献杯をする
住んでいる地域によっては、あいさつのあと献杯をします。献杯とは、仏事や葬儀の席で使われる、乾杯の意味の言葉です。
献杯の発声は、親族の中でも年配の男性や、故人と特に親しくしていた人にお願いすることが多いです。世話役、友人代表、親族代表の中から、誰かにあらかじめ依頼しておきましょう。
宴席の開始
飲食を始めたら、喪主や遺族はそれぞれの席を回り、お酒を注ぎ、話をするなどして一人ひとりにお礼を伝えます。
法要の日程を相談
精進落としの席には僧侶を始め、親族一同が揃うことが多いです。四十九日の法要や、納骨のタイミングなどについて、席を回りながら日程の相談をしておきましょう。先々でスムーズに準備がしやすくなるはずです。
終了のあいさつ
精進落としは、1~2時間を目安にお開きにするのが一般的です。
食べ終わった人から随時散会する場合もありますが、喪主があいさつして場を締めることが多いです。
引き出物を配る
引き出物を用意している場合は、会食中に配るか、帰る前に手渡します。供物の分配をする場合も、出席者が帰るまでに渡せるように準備しましょう。
僧侶にお布施を渡す
精進落としの席に僧侶が出席した場合は、お帰りになる前にお布施を渡します。ただし、翌日寺院へ出向くことができる場合は、改めて持参してかまいません。
精進落としの由来
本来は忌明けまで肉・魚を断つこと
精進落としは、本来、忌明けとなる四十九日法要のあとに食べられるのが一般的でした。というのは、仏教の「殺生をしない」という戒律のもと、亡くなった人があの世へと旅立つ四十九日までは、肉や魚を食べない、という習わしがあったからです。
肉食を避けて食事を摂るために、精進料理が生まれました。精進料理は、野菜や豆類などの植物性の材料を使って作られた料理のことです。「精進」とは、「行いを慎み、一切の誘惑を断つ」というような意味があります。
四十九日の忌明けを境に、故人はあの世へと旅立つので、残された遺族も通常の生活へと戻ります。精進落としには、「忌明けをしたので、食事も通常に戻します」という意味が込められています。
しかし、時代とともに精進落としの意味も変化し、現在は葬儀が無事に終わったことに対するお礼や、慰労をするためのもの、という意味合いが強くなりました。
初七日法要までは精進料理をいただく、という風習が残っている場合もありますが、最近は初七日法要も、葬儀の日に合わせて行うことが多いです。結果的に、葬儀当日に精進落としまで済ませる形になることが増えています。
時代の流れとともに、「葬儀が無事に済んでよかった、お疲れさま」、とみんなで食べる料理、というイメージが強くなっていますが、本来の意味も踏まえて味わいたいものですね。
精進落としは葬儀後のおもてなし
無事葬儀を終えられたことに対する、感謝やねぎらいを
本来の精進落としは、忌中と忌明けとを区切る食事でした。しかし現在は、無事に葬儀が終えられたことに対して、感謝の気持ちでおもてなしをする、という意味合いが強くなっています。
喪主や遺族を含め、全員が葬儀の準備や進行で張りつめていた気持ちを少しゆるめ、食事を楽しむ席になりつつあるようです。そんな和やかな雰囲気になるように、遺族側は会場や料理を用意し、もてなしたいものです。