新型コロナウィルスで葬儀はどうなる?感染拡大の影響に見る葬儀の今後
感染が拡大する新型コロナウィルスの影響は、葬儀の場にも表れているようです。日々状況が変化し、「通常通り葬儀ができるのか」、「葬儀をしてもいいのか」と判断に迷う人もいるのではないでしょうか。今回は新型コロナウィルスにおける葬儀への影響について調べてみました。
新型コロナウィルス感染拡大で葬儀はどうなる?
感染対策をした上で葬儀を行う
ついに緊急事態宣言が出た地域もありますが、現在のところ、葬儀に関しては「不要不急」といえず、感染防止対策をした上で行うという状況のようです。遺族としては、葬儀社に意向を伝えつつ、感染拡大を招かないよう配慮しながら葬儀を行うことになるでしょう。
葬儀規模は縮小傾向
葬儀は不要不急の集まりといえないとはいえ、実際行われる葬儀は、一般葬より家族葬、一日葬、直葬を選ぶなど、自粛ムードが強まっています。
参列者側も自粛する人が増えているのか、一般的な返礼品や食事の準備をしても、参列者が少なく余りが発生するケースもあるようです。
葬儀規模縮小化の背景には、集会・イベントの自粛要請や学校の休校措置なども影響していると考えられます。また、感染リスクを高める「三つの密(密閉、密集、密接)」を避ける人も増えているのでしょう。実際、愛媛県松山市では、通夜や葬儀の場から新型コロナウィルスの集団感染も発生しました。葬儀には高齢の人が参列する機会も多いため、葬儀規模を縮小し、感染リスクを下げようとする動きが強まっているのではないでしょうか。
新型コロナウィルスの流行で、葬儀の規模縮小はより進む可能性
以前から葬儀の小規模化は進んでいますが、新型コロナウィルス感染拡大により、さらに規模縮小化が進んでいるようです。中には、社葬や法事を見送るケースもあります。葬儀を簡素にすませたいと考える人が増える中、新型コロナウィルスを理由に、一日葬や直葬を選ぶ人が増えていくかもしれません。
新型コロナウィルス流行による葬儀社・斎場の対応
斎場・葬儀場は通常営業
4月1日時点では、東京や神奈川、埼玉、千葉の斎場・葬儀場は、感染防止対策を行った上で、通常通り営業されているようです。
具体的な対策は各斎場・葬儀場によって異なりますが、主に
- 職員のマスクや手袋の着用
- 消毒液の設置
- 式場・控室の入れ替え清掃時の消毒
などが行われています。
その他、座席の間隔を空ける、ロビーや控室の利用可能人数の制限といった予防策や、売店での食品販売を見合わせている場合もあります。
葬儀社・斎場の対応から予測する新型コロナウィルスの影響
感染拡大で、葬儀を引き受ける葬儀社が見つからない可能性も
新型コロナウィルスの感染拡大が止まらなければ、葬儀を引き受けてくれる葬儀社が見つからない可能性も出てくるかもしれません。
特に、新型コロナウィルスの疑いがある場合は、依頼を断られるやすくなると考えられます。
葬儀社のスタッフは、遺体の衛生管理や保全知識を十分持ち、遺族の力になりたいと考えている人も多いと思われます。ですが、職業柄、葬儀を通じてさまざまな人と接するため、自分が感染源とならないよう、依頼を断るケースも出てくる可能性もあるでしょう。
新型コロナが原因で亡くなった場合は24時間以内の火葬も認められる
新型コロナウィルスが原因で亡くなった場合は、24時間以内の火葬が認められています。法律では認められていませんが、新型コロナウィルスはペストやエボラ出血と同じ、指定感染症の対象になるためです。もし新型コロナが原因で亡くなった場合は、悲しみを感じる間もなく、火葬される場合も出てくるかもしれません。
24時間以内に必ず火葬されるとは限らない
ただし、あくまで「火葬できる」という意味であり、必ず24時間以内に火葬されるとは限りません。また、都市部では、新型コロナウィルスで亡くなったご遺体の火葬について、特定の火葬場や火葬時間でないと受け付けていないこともあります。
参考:厚生労働省:新型コロナウイルスに関するQ&A(関連業種の方向け)「3 遺体等を取り扱う方へ (問1 新型コロナウイルスにより亡くなられた方の遺体は、24時間以内に火葬しなければならないのですか。)」
新型コロナウィルス流行期の葬儀に関してよくある質問Q&A
Q.新型コロナウィルスで亡くなった場合のお別れは?
A.故人との最後の対面は難しい
通常、ご遺体は通夜や葬儀まで霊安室などに安置するのが一般的です。しかし、新型コロナウィルスで亡くなった場合は、通常の葬儀はもちろんのこと、遺族でも故人と最期の対面をするのはできないでしょう。ご遺体からも感染リスクがあるためです。
新型コロナウィルスが原因で亡くなったご遺体は、感染拡大防止のため、非透過性納体袋に収められ、まずは火葬することになるのが一般的です。実際、コメディアン・タレントだった志村けんさんのご遺族も、最後の見送りが叶わなかったことが報じられました。
条件付きで顔を見られる可能性もないわけではない
最期の対面は、厚生労働省も葬儀業者等に対し、極力そのままの状態で火葬するよう努めてほしいとしています。ですが、遺族が遺体に直接触れることを希望する場合は、手袋等を着用するように、とも求めています。葬儀社によっては、人数制限を設け、対面はできずとも、火葬炉前で立ち会うことは許される場合もあるかもしれません。
また、ご遺体を納体袋に収め、表面の消毒をすれば感染リスクを下げられるということで、神戸市では透明の納体袋を発注し、故人と遺族が対面できるよう努力する姿勢も見られます。とはいえ、現状としては、新型コロナウィルスが原因で亡くなった場合、故人と対面し見送ることは難しいでしょう。
Q.葬儀を行うにあたり、遺族はマスクの準備が必要?
A.準備の必要はないが、着用の呼びかけを
新型コロナウィルス対策として、マスクの着用も求められていますが、葬儀を行うからといって遺族が準備する必要はありません。ただ、参列者に各自着用してもらうよう呼び掛けましょう。
なお、中にはマスクを着用して参列することが失礼だと考えている人もいるようですが、マナー違反ではありません。特に今は緊急事態なので、挨拶をする際や焼香時も、マスク着用をアナウンスしましょう。
新型コロナ流行下で葬儀を行う場合の注意点
持病のある人や高齢者などの参列を避ける
新型コロナウィルス感染が収束しない中での葬儀では、高齢者や妊婦、持病のある人など、重症化しやすいとされる人の参列を避けた葬儀内容を検討する必要があります。故人とのお別れの場を作れないのは遺族にとっても辛いことでしょう。
ですが、慣例にとらわれず、感染防止に努めることも大切です。葬儀は家族だけで見送り、参列できなかった人とは、落ち着いてから会食の場やお別れ会の場を設けるようにするのも方法のひとつです。
手指消毒やうがい、手洗いの徹底
前述したとおり、実際に通夜や葬儀の場で集団感染が発生した事例もあります。通夜や葬儀では遺族、参列者ともに手指消毒やうがい、手洗いを徹底し感染予防に勤めましょう。
食事は持ち帰りできる弁当などで対応する
通夜や葬儀では通夜振る舞いや精進落としなど、飲食をする機会もあります。関東地方では大皿料理で出す地域もありますが、感染リスクを考えると、避けたほうが無難です。食事は持ち帰りができる折詰め弁当を用意し、滞留時間を短くするなどの対応を検討しましょう。通夜ぶるまいや精進落としの席を省略するのも方法のひとつです。
現状は斎場・葬儀場は通常通り、新型コロナウィルス対策は万全に
葬儀社と相談し、状況に合わせ臨機応変の対応を
新型コロナウィルスの感染者数は全国で増加しており、4月7日、一部地域に緊急事態宣言も発表されました。日々、状況が変化していますが、葬儀は先延ばしできるものではなく、突然訪れることもあります。
現状、斎場や葬儀場は通常営業となっていますが、遺族は感染対策を十分した上で、葬儀を行う必要があるでしょう。感染リスクとなる「3つの密」を避けるため、身内だけで見送り、コロナ禍が終息後改めて会食の場や、お別れ会を開催するなど、葬儀内容を検討することもひとつです。
今後、事態がどのように動くか全く予想がつきませんが、もし葬儀を行うことになった場合は、葬儀社と相談しながら、臨機応変に対応することが求められそうです。