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家族葬への参列の断り方~弔問や香典の辞退を上手く伝える方法
故人を家族葬で送り出す場合、参列を断ってもいいか、どのような断り方をすれば失礼にならないか迷われる方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、参列を断ること自体は珍しいことではありません。ですが、お断りの仕方には失礼がないように気を配りたいところです。今回はこの記事で、家族葬への参列や香典の断り方について上手に伝えるポイントをご紹介します。
家族葬への参列の断り方
家族葬について知らせる時点で参列を辞退する
家族葬への参列の断り方で大切なことは、周囲の人に葬儀の知らせを行う最初の段階で、参列を辞退する旨を伝えることです。葬儀の知らせは電話やメールで行うのが一般的ですが、その際に家族葬を行うことを知らせるとともに、参列は辞退することも伝えましょう。あらかじめ意思を伝えておけば、相手も遺族の意向を尊重してくれるはずです。
さらに、家族葬を行うことを知らせた人には、他の人に連絡しないようにお願いしておきましょう。予期せぬ参列を防ぐためです。葬儀後に改めて連絡することを説明しておけば、知らせた人にも対応を心配されることはないはずです。
参列を断るなら、会場は伏せておくのがベター
家族葬の案内をする際は、お通夜や葬儀の会場についての情報も伏せておくほうがいい場合があります。必要最低限の情報だけ伝えるほうが、参列を辞退したいという遺族の意向も、より伝わりやすくなるからです。
当日の看板や受付でも参列辞退を伝える
家族葬の参列を辞退する場合は、お通夜や葬儀当日も看板や受付などで知らせるのも断り方のひとつの形です。看板については葬儀社が準備するのが一般的なので、あらかじめ参列を辞退する旨を明記できるか、確認しておくと安心です。
受付で伝えてもらう場合も、あらかじめ受付係を依頼する人に、参列辞退の意向を伝えてもらえるよう頼んでおくとよいでしょう。
家族葬の前には伝えず、葬儀後にお知らせを送る
近年は葬儀前の案内を控え、葬儀後に挨拶状で知らせる断り方の形も増えています。例えば葬儀の案内は家族や親しい人など、参列をお願いしたい最低限の人にだけ行い、遠くに住んでいる人や、以前より付き合いが減った人などには葬儀後に知らせるなどです。事後報告にすることで、予期せぬ葬儀への弔問を減らすこともできるでしょう。
あえて葬儀の案内をする人を限定することで、必要以上に葬儀を行うことが知られることなく、自然に参列を辞退することにもつながるはずです。断り方が難しい、参列をお断りすることを心苦しいと感じる場合などは、葬儀後にお知らせする方法を取るのもひとつの手段と考えられます。
事後報告になった理由やお詫びの気持ちも述べる
故人が生前お世話になった人に対し、家族葬の参列を断ること自体は失礼にあたりません。ですが、亡くなったことや葬儀を行ったことは、葬儀後であっても報告するのがマナーです。
事後報告をする場合に注意したいのは、家族葬で見送ったこととともにすぐにお知らせしなかった理由や、お詫びの気持ちも伝えることです。最低限の人だけに参列をお願いすること自体が悪いわけではありませんが、参列できなかった人の中には、葬儀に参列し、故人とお別れをしたかった人がいるかもしれないからです。
無用なトラブルを避けるためにも、故人の遺志や遺族の判断で家族葬になったことや、知らせが遅くなったお詫びの気持ちなどを、丁寧に説明することが大切です。
家族葬の参列辞退に使える文例
家族葬の参列の断り方で大切なのは、どのシチュエーションでも故人と関係のあった人に対し、家族葬を行うことや参列を辞退することを、ハッキリと伝えることです。基本的には、「家族葬を行う」と連絡すれば、参列を遠慮してほしい気持ちを示せるでしょう。
電話で参列辞退を伝える場合
下記は電話で家族葬を行うことと、参列辞退を伝える場合の例文です。参列の断り方については、「故人の遺志」と伝えることで、角も立ちにくくなります。相手やシチュエーションごとに伝え方は変わってきますが、上手に取り入れ辞退の意向を伝えるとよいでしょう。
お忙しいところ、突然のご連絡申し訳ありません。
お世話になっております、〇〇〇〇の娘の△△と申します。
本日、午前〇時に父〇〇が亡くなりました。
通夜、葬儀に関しましては、父の生前の希望により、家族のみで執り行う予定です。
葬儀への参列およびご厚意につきましては、故人の遺志によりご辞退申し上げます。
なお、ほかの皆様には葬儀後にお知らせいたしますので、どうぞご内聞にお願い申し上げます。ご不便をおかけしますことをどうかご容赦ください。
書面で参列辞退を伝える場合
続いて、家族葬を行う前に、書面で参列を辞退する場合の例文をご紹介します。
謹啓
〇月〇日、祖母〇〇○○が逝去いたしました。
生前の祖母の遺志を尊重し、葬儀・告別式は近親者のみで執り行うこととなりました。
誠に勝手ではございますが、故人の遺志により、御香典・ご供花などのお気遣いはご遠慮させていただきます。
ここに故人が生前賜りました厚情を深謝し謹んでご通知申し上げます。 謹白
喪主 〇〇〇〇
書面で伝える際も、故人が亡くなったことともに、「故人の遺志で家族葬を行う」ことを伝えましょう。参列したいと考えている人がいるかもしれないからです。
葬儀会場の記載は必要に応じて判断します。ただし会場を記載すると「葬儀参列のお願い」と受け取られる可能性もあるので注意が必要です。
書面で伝える際は、「謹啓・謹白」のように、改まったシーンや目上の方を敬う意味合いがある頭語・結語を用いると、より丁寧な印象になります。生前の交流に感謝の気持ちを述べることも、気持ちが伝わりやすいでしょう。
直接会って参列辞退を伝える場合
口頭による参列の断り方には、下記の文言が使われることが多いです。
- 故人の遺志により、家族葬にさせて頂きます
- 故人の生前の希望により、家族のみで送らせて頂きますので・・
お断りするだけでなく、遺族の気持ちを言い添えると、遺族の気持ちが相手に伝わりやすくなるでしょう。例えば「故人の生前の意向で参列やお香典は一切いただかないことにしていますが、時々故人のことを思い出していただければ嬉しいです」などです。
葬儀後の弔問を辞退する場合
家族葬を終えた後、書面にて弔問辞退のお知らせをする場合の文例もご紹介します。葬儀後に訃報を知らせる場合は、初七日を過ぎて四十九日までの間に伝えるのが一般的です。
祖父〇〇〇〇儀
かねてより病気療養中のところ 去る〇月〇日に逝去いたしました
生前の御厚誼に深謝し ここに謹んでご通知申し上げます
なお誠に勝手ながら 葬儀におきましては
故人の遺志により〇月〇日 身内のみにて執り行いました
本来ならば早速申し上げるべきところ ご通知が遅れましたことをお詫び申し上げます
生前中に賜りました 御厚誼に心より御礼申し上げ
失礼ながら 書中をもってお知らせ申し上げます
令和〇〇年〇月〇日
住所〇〇〇〇〇〇〇
喪主 〇〇 〇〇
家族葬の参列を巡るトラブルを予防するコツ
家族葬の参列を辞退する場合は、断り方によってはトラブルとなる場合もあるので注意が必要です。後々の付き合いに影響が出ないよう、気を付けたいポイントも押さえておきましょう。
葬儀会社と断り方についてしっかり相談する
家族葬で参列を辞退する場合は、葬儀社と事前にしっかり相談や打ち合わせをしておきましょう。参列を辞退しても弔問に訪れる人がいた場合、あらかじめ話し合っておけば、当日も遺族の意向に合わせた対応をしてもらえるはずだからです。
葬儀社とは参列だけ辞退するのか、香典や供物も一切受け取らないのかなど、あらかじめ話し合っておきましょう。特に香典や供物については、一人を受け入れるとほかの人から申し出があった場合、断りにくくなるので慎重な判断が必要です。
参列辞退を伝えるタイミングや、葬儀の日時や会場を伝えるべきか悩んだ場合なども、葬儀社に相談すれば適切なアドバイスがもらえるでしょう。
近所の人には口頭で伝える
ご近所の人には、家族葬を行うことを直接口頭で伝えておくほうがよいでしょう。ご近所の人とは今後も付き合いをしたり、顔を合わせる機会が多かったりするからです。葬儀前はバタバタすることも多いですが、できる限り対面で伝えるほうが丁寧でしょう。
親戚や友人など親しい間柄なら電話で一報を入れておく
遠方に住んでいる親戚や故人と親しい友人、知人に対して家族葬参列の辞退する場合は、事前に一言電話で伝えておきましょう。事後報告だと、関係性が悪くなることや、何らかのトラブルに発展するリスクもあるからです。事前に知らせていても苦言を呈されることがあるかもしれませんが、誠意をもって対応すれば理解してもらえるはずです。
連絡手段は、電話以外にメールや書面で伝えてもかまいませんが、いずれにしても付き合いのあった人を把握し、伝え漏れのないようにしましょう。近くに住んでいる人の場合は、直接伝えると、さらに丁寧です。
故人の会社や自分の勤務先にも家族葬の連絡は忘れずに
家族葬を行う際は、故人の勤めていた会社にも忘れずに連絡し、参列辞退の旨を伝えましょう。合わせて、自分の勤務先にも連絡し、就業規則に従い、忌引き休暇の手続きも行うとスムーズです。会社によっては、弔事金が関係してくることもあるので、故人との間柄も含め、事前に伝えておきましょう。
会社に伝えるときは、葬儀の日程や会場など詳細を公にしないほうが、参列辞退の意向が伝わりやすいです。
会社によっては、人事や総務などの担当部署に参列辞退の連絡を入れておくだけで、訃報の通知とともに社内に周知してもらえることもあります。周知してもらえる場合は、葬儀会場や日程について明記しないでほしいと伝えましょう。
ただ、念のため勤務している部署にも、自分から直接電話やメールで通知しておくと、より正確に参列辞退の意向が伝わり、予期せぬ弔問を防ぐことにもなるでしょう。
参列を断る場合は香典や供花も辞退する
周囲の人に訃報や家族葬を行うことを知らせるときは、参列だけでなく香典や供花、供物、弔電などの扱いについても、事前に考えておく必要があります。家族葬と伝えれば「参列は遠慮したほうがいい」と理解されることが多いです。しかし、「参列ができないなら、せめて香典を渡したい」と考える人もいるかもしれません。
参列以外に、香典や供花等もすべて辞退するのであれば、参列辞退のお知らせとともに伝えるほうが、相手も迷わずにすむでしょう。相手によって伝え方の手段は電話やメール、口頭など異なるかもしれませんが、どの方法でも相手が余計な気を遣わずに済むよう、確実に伝わる方法を考えましょう。
香典も供花も辞退するときは、「故人の遺志」や「故人ならびに遺族の遺志」と付け加えれば失礼にはあたりません。例えば「故人の遺志により、家族葬を行わせていただきます。つきましては弔問および香典、供花もご辞退申し上げます」などです。
なお、家族葬で香典を受け取らない場合は、四十九日を過ぎた後にあまり高額でない返礼品を送るか、返礼品は用意せず挨拶状のみを送ります。一般的には挨拶状のみを送ることが多いですが、具体的にどうするかについては、葬儀社と相談するとよいでしょう。
参列を辞退しても弔問された場合はできる限り受け入れる
家族葬の参列を辞退しても、弔問や香典を持参される可能性はあります。一度はお断りしても、「どうしても」といわれた場合は、相手に不快な思いをさせないよう、できる限り受け入れるほうがよいでしょう。無理に参列を断ったり、香典を返したりするのは失礼にあたるからです。
相手は故人を悼む気持ちや、善意で弔問や香典を持参しているはずです。かたくなに断るだけでなく、感謝し、気持ちを受け入れることも大切です。受け取った香典については、通常の場合と同じく四十九日が過ぎてから、返礼品に挨拶状などを添え、香典返を送りましょう。
家族葬参列の断り方はタイミングや間柄に合わせたマナーを
葬儀社とも相談して失礼のない断り方を
家族葬の参列は、断ること自体はよくあることで、失礼にあたるわけではありません。ただ、故人と縁のある人の中には、葬儀に参列したいと考える人もいる可能性があります。「故人の遺志」と伝えるなど、断り方には気を配りましょう。伝えるタイミングや間柄によっては、具体的な葬儀日時、葬儀会場を伝えないほうがいい場合もあります。
また、弔問だけでなく香典や供花等も辞退するつもりであれば、参列辞退の連絡と合わせて伝えるほうが、相手も迷わずにすむでしょう。後々トラブルになるのを防ぐためにも、葬儀社とも相談し、失礼のない断り方を心掛けましょう。