2018.4.18

弔辞を依頼されたら~お悔やみの挨拶スピーチ作成上の注意点

弔辞を依頼されたら~お悔やみの挨拶スピーチ作成上の注意点

葬儀における弔辞は、故人との思い出を語りながら死を悼み、遺族の悲しみを慰めるための言葉です。故人と親しい付き合いをしていた場合、頼まれる可能性があるでしょう。
弔辞はあらかじめ作成したものを読んでかまいません。実際、多くの人が作成したものを当日は読み上げます。弔辞を依頼されたら、いくつか注意したいことがあるので、それを意識して、文章を考えましょう。

葬儀で弔辞を依頼されたときの注意点

葬儀の場で、人前に立ち弔辞を読むとなると緊張する人もいるかもしれません。ですが弔辞は故人に語り掛ける手紙のようなものです。スピーチを考える上での注意点を抑えて、素直な気持ちを言葉にしましょう。

  1. 弔辞の依頼は基本的に断らないのが基本
  2. 弔辞の作成前に故人の経歴を再確認する
  3. 弔辞の長さは3分を目安にまとめる
  4. 弔辞の作成時は忌み言葉に注意
  5. 弔辞は故人とのエピソードを交えた内容を
  6. 弔辞の内容は、ほかの人と重ならないように
  7. 遺族が弔辞を保管することを前提に作成する

ポイント(1)弔辞の依頼は断らないのが基本

弔辞を依頼されたときは、基本的に断らず、快く引き受けるのがマナーです。遺族側も「この人にお別れを言ってもらえたら、故人もきっと喜んでくれるだろう」と思う人に依頼するからです。
弔辞は原稿を見ながら読み上げてかまわないません。遺族の思いを汲み取り、できる限り引き受けましょう。

弔辞の朗読を希望する場合は遺族に相談を

もし遺族から弔辞の依頼がなかった場合でも、自分自身が弔辞を述べたいという思いがあるなら、早めに遺族に申し出ましょう。

ポイント(2)弔辞の作成前に故人の経歴を再確認する

弔辞は故人にとって、最期の公式な場です。氏名や名称、生年月日、経歴などの項目は間違いがないように注意しましょう。大丈夫、と思っていても念のため遺族にもう一度確認することが大切です。

ポイント(3)弔辞の長さは3分を目安にまとめる

弔辞は葬儀の中で、自分を含め、2~3人がそれぞれ、朗読することが多いです。読み上げる時間は、3分くらいになるよう、文章を作成しましょう。あまり長く朗読しても、場が間延びしてしまうからです。3分程度の文章は、文字数で表すと、およそ800~1,000文字といわれています。目安となる文字数におさまるよう調整して、実際読み上げて時間もはかっておくといいでしょう。

ポイント(4)弔辞の作成時は忌み言葉に注意

葬儀で注意することのひとつに、忌み言葉を使わないことがあります。弔辞でも同じです。
葬儀における忌み言葉は、繰り返しの表現や、生死を直接的に表現する言葉、不吉な印象のある言葉を使うことです。
繰り返しの表現を避けるのは、悪いことが何度も起こるというイメージを引き起こすからです。不幸なことは二度と引き起こしたくないという意味で、弔辞を含め、葬儀の場では使用を避けます。
弔辞でも、マイナスのイメージを起こるような言葉は使わず、直接的な表現は遠回しの言い方に変えることが重要です。

表現 具体例
重ね言葉や繰り返しの表現 たびたび、しばしば、重ね重ね、重々、つねづね、返す返す、いつもいつも、再三、再々、再三再四、続く、引き続く、またまた、さらに、再び、追伸
生死に関わる直接的な表現 死ぬ、死亡(→急逝、逝去、永眠、世を去る、逝く、早世などに変える)
※死亡の知らせは訃報、悲報に変える
よくないこと、不吉なイメージを連想する言葉 苦しむ、倒れる、朽ちる、浮かばれない、迷う
数字 4(死)、9(苦)

可能であれば宗教・宗派も確認する

弔辞を作成する前に、先方の葬儀がどんな宗教・宗派かを確認しておくとベターです。というのも、宗教・宗派によっても独自に使う言葉があるからです。特定の宗教・宗派でしか使わない言葉は、ほかの宗教・宗派の葬儀では使用を避けましょう。

仏教だけが使う言葉 成仏、供養、冥福、往生 死後は仏様になるという思想
神道だけが使う言葉 御魂、御安霊、守護神、帰幽、泉下 死後は霊魂になり家を守る守護神になるという思想
キリスト教だけが使う言葉 昇天、召天、帰天、神に召される 死後、この世の苦悩から抜けだし、神様の元へ召されるという思想
浄土真宗だけで使う言葉 浄土、彼の土、西方浄土、極楽浄土、往生する、浄土へ還る、謹んで念仏する、悼む
(※草葉の陰、冥福を祈るなどは使わない)
ほかの宗派と違い、死後はただちに浄土へ行き、仏様になれるという思想。阿弥陀如来さまの力で救われることが約束されているため、死後の旅をする必要がない。

ポイント(5)弔辞は故人とのエピソードを交えた内容を

弔辞の内容は、故人とのエピソードを交え、自分の気持ちを率直な言葉で表現するほうが、遺族や参列者の心にも届きやすくなるでしょう。かしこまった形式的な文章や、美辞麗句を並べただけの文章は、むしろ避けるほうがベターです。
ただし、エピソードでは故人の欠点や失敗談など、マイナス部分に触れるのはタブーです。遺族をはじめ、関係者の心情を害することになるからです。

ポイント(6)弔辞の内容は、ほかの人と重ならないように

自分以外にも弔辞を読む人がいることが多いので、内容がかぶらないようにすることもポイントです。せっかく読むのですから、自分だけが持っているエピソードを遺族や参列者に伝えたいですよね。
同じエピソードを盛り込むことを防ぐには、弔辞を依頼されたとき、ほかに朗読する人がいるかどうか確認することです。ほかに朗読する人がいる場合は、故人との関係性も聞くようにしましょう。そうすれば内容がかぶったり、同じエピソードを話すのを防ぎやすくなります。

ポイント(7)遺族が弔辞を保管することを前提に作成する

弔辞を依頼されたら、当日はメモ書きを見ながら朗読するのではなく、できれば奉書紙や巻紙を使い、きちんとした形で準備しましょう。ペンは筆が苦手であれば、普通のペン書きでかまいません。
弔辞は故人に対して気持ちを読み上げるものですが、葬儀後は祭壇に供え、最後は遺族が保管するのが一般的だからです。
長く保管される可能性を考え、心を込めて書き上げましょう。きっと遺族にも気持ちが伝わるはずです。

葬儀の弔辞、文章構成のポイント

弔辞は形式的な言葉を並べるより、自分の気持ちを素直に表現するほうがベターです。ですが、ただ思うがままを文章にすると話があちこちに飛びやすいです。ある程度構成を考えてまとめるようにしましょう。

  1. 故人との関係を説明する
  2. 故人に語り掛ける
  3. 故人の人柄や功績を讃え、エピソードを紹介する
  4. 故人に別れの言葉を告げる

ポイント(1)故人との関係を説明する

弔辞を朗読するときは、進行役の人から名前や肩書などを紹介されます。弔辞では、その紹介に応えるようなイメージで、まずはあいさつとして、自分と故人との関係を説明しましょう。
例:「ただいまご紹介に預かりました〇〇(自分の名前)です。友人代表として、お悔やみ申し上げます。私と〇〇さんとは、小学校から中学、高校までともに学び、遊んだ仲でした。」

ポイント(2)故人に語り掛ける

あいさつのあと、故人への呼びかけを続けましょう。弔辞は自分の気持ちを率直に表現してかまわないので、「〇〇さん(君)」、「〇〇先生(社長)」など、話しかけるつもりで書くといいでしょう。ただしキリスト教では呼びかけをしないのが一般的です。
続いて、訃報を聞いて驚き、悲しんでいることを伝えます。悲しみの表現は抑え気味にするほうが、重みを出しやすくなります。
例:「〇〇さんの突然のご訃報に接し、言葉を失っております。先月同窓会でお会いしたときはお元気そのものでしたのに、信じられない思いでいっぱいです。」

ポイント(3)故人の人柄や功績を讃え、エピソードを紹介する

続いて、故人の人柄や功績について触れ、思い出に残っている具体的なエピソードを紹介します。弔辞のメインとなる部分です。
エピソードについては、いくつも盛り込むのではなく、一つに絞ってなるべく具体的に伝えることを意識しましょう。故人が生前語っていた言葉などを引用するのも、印象深い弔辞にするポイントです。
例:「いつも明るく、ほがらかで、勉強も遊びも全力で取り組む人でした。優しいあなたは人望も厚く、頼りにしている友人も大勢いました。一緒に夏休みのラジオ体操に行ったり、部活動で汗を流したことが、今も思い出に残っています。」

ポイント(4)故人に別れの言葉を告げる

最後に、故人に対し別れの言葉を告げて締めくくります。無難なまとめ方としては、「安らかにお眠りください」がいいでしょう。「ご冥福をお祈りいたします」の「冥福」は、仏式葬儀以外では使わない表現なので、注意して使用してください。最後の締めくくりには、遺族へ慰めや励ましの言葉をかけてもOKです。
例:「あなたが突然いなくなり、言葉にできないほど悲しいです。ですが、あなたとの思い出はこれからも私たちの心に生き続けるでしょう。どうか安らかにお眠りください。」

葬儀の弔辞を清書するとき

奉書紙と薄墨を使用するのが正式

葬儀の弔辞を清書するときは、大判の奉書紙を用い、薄墨の毛筆を使用するのが正式です。奉書紙は、市販の式辞用紙を利用すると便利です。
ただし、絶対に奉書紙を使わないといけないということはないので、手元になければ、巻紙や便箋を使用してもかまいません。便箋の場合は、白無地の便箋を使い、白無地の封筒に入れましょう。ペンに関しても、筆で書くのが難しい場合はペン書きで問題ありません。
奉書紙や巻紙に弔辞を書く場合は、書き終わったら右から折りたたみます。上包みは、同じ奉書紙を半分に切り、左前三つ折りにしまず。
表書きは「弔辞」、「弔詞」、「弔文」などとするのが一般的です。

葬儀の弔辞朗読は、言葉遣いやスピーチの長さに注意

基本的には故人への気持ちを率直に表現してOK

葬儀で弔辞を依頼されたときは、使ってはいけない言葉や、自分の時間配分を考え文章を考えましょう。公式の場なので、故人の情報も間違えないように注意してください。
ポイントさえ押さえれば、弔辞は故人への気持ちを素直に伝えられるものです。読むときも、ゆっくりと、語り掛けるような口調で朗読すると、周囲にも気持ちが伝わるでしょう。
人前で弔辞を読むとなると緊張するかもしれません。ですが、故人と関係が深いあなただからこそ、伝えられるエピソードを考えてみてください。

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