2018.4.18

葬儀の受付を頼まれたら~受付の主な役割と基本的なマナー

葬儀の受付を頼まれたら~受付の主な役割と基本的なマナー

葬儀の受付は、故人との関係性に応じて依頼するものです。年齢を重ねるにつれ、依頼されることも増えるでしょう。受付の方法自体は、地域や葬儀の形式によって多少違いはあります。ですが、受付が担う役割はほぼ同じです。基本的なマナーを覚えておけば、対応できるようになるでしょう。
今回は葬儀での受付の役割と、覚えておきたいマナーについてご紹介します。

葬儀の受付が担う役割

葬儀の総合窓口。お香典を預かり、記帳してもらう

葬儀の受付は、葬儀全体の窓口のような存在です。主な役割は、参列者からお香典を預かり、記帳してもらうことですが、会場の全体図や葬儀の進行時間なども把握しておくことが必要です。
ほかにも、葬儀の規模によっては、会場への案内や、会葬礼状や返礼品を渡すのも、受付の仕事になります。

葬儀の受付、大まかな流れ

葬具の受付は、地域や葬儀形式によって多少は差がありますが、大きな流れや役割は大体同じです。まずは、受付がどんなことをするかを把握しておきましょう。

  1. 葬儀開始1時間前には会場へ到着
  2. 葬儀の受付準備をする
  3. あいさつをして葬儀の参列者を迎える
  4. 葬儀の参列者からお香典を預かる
  5. 葬儀の参列者に芳名帳へ記帳してもらう
  6. 葬儀の会葬礼状と返礼品を渡す
  7. 葬儀会場へ案内する
  8. お香典は葬儀の会計係に渡す
  9. 弔電や供物が届いたら葬儀を取り仕切っている人へ報告
  10. 受付終了後はお香典の整理と後片付け

葬儀の受付(1)葬儀開始1時間前には会場へ到着

葬儀で受付を頼まれたときは、指示がない限り、葬儀が始まる1時間前までに会場へ着くのが基本です。会場へ到着したら、まずは遺族にあいさつし、祭壇へ一礼をします。

葬儀の受付(2)葬儀の受付準備をする

受付の準備は、葬儀開始30分前までに完了するようにしましょう。早めに到着する参列者もいるので、受付場所で待機するようにします。

受付の役割分担をする

受付は何人かで行うのが一般的です。葬儀の規模によっては、受付を「一般」と「会社関係」とに分けることがあります。
大規模な葬儀だと、記帳に時間がかかることも多いので、芳名帳の数を増やす、受付と返礼品係、案内係、駐車場係と、細かく分担を分けることもあります。
芳名帳を増やして受付の窓口数を多くしたり、受付と返礼品係とを分ける場合は、その分のスペースも必要です。葬儀社や世話役とも相談し、各々の役割分担や間取りを決めましょう。

葬儀会場のレイアウトと葬儀の流れを把握する

受付は参列者をそれぞれ葬儀会場へ案内する必要があります。トイレの位置や駐車場、待合所、喫煙所、お焼香所なども聞かれることが多いので、会場のレイアウトを把握しておきましょう。葬儀の開始時刻や出棺などの流れも、頭に入れておくことが大切です。

受付に必要な用具の準備

受付には、筆記具と芳名帳、お香典受けや名刺受けなどの受付用具を準備します。
筆記具は、黒のボールペン、サインペン、筆ペンなどを用意してあることが多いですが、受付が始まる前にインクが出るか確認しておきましょう。
芳名帳は、あとで整理がしやすいように各行の頭に番号をふっておくといいでしょう。

返礼品の確認

会葬礼状や返礼品は、袋詰めにしてあることが多いです。弔問客に渡しやすいよう、準備しましょう。返礼品を渡す係もする場合は、受け渡し方法についても確認しておきます。

葬儀前にお焼香を済ませておく

受付係をするとなると、葬儀が始まってからお焼香をする機会がなくなります。参列者が少ない葬儀前に交替で済ましておきましょう。

葬儀の受付(3)あいさつをして葬儀の参列者を迎える

葬儀の参列者が訪れたら、受付では遺族の代わりに葬儀参列のお礼を述べて迎えます。
あいさつの決まりはありませんが、一般的な言葉を覚えておくといいでしょう。ただし、忌み言葉には注意してください。
参列者は早めに到着する人もいます。準備が整ったら、順次受付をしてもらい、待合所へ案内しましょう。

受付のあいさつ例

「ありがとうございます」

「本日はお忙しい中をおこしいただきまして、ありがとうございます」

「ご苦労さまです」

「本日は足元のお悪い中をおこしいただき、ありがとうございます」(※雨天時)

受付で注意する忌み言葉例

次々、たびたび、いよいよ、重ね重ね、なお、続く

仏式葬儀では「浮かばれない」、「迷う」も避けたほうがベター

葬儀の受付(4)葬儀の参列者からお香典を預かる

参列者がお香典を差し出したら、受付で預かります。
預かるときは「お預かりします」、「ご丁寧にありがとうございます」、などと言い、必ず両手で受け取って一礼をします。参列者からお悔やみの言葉を受けたら、「ご丁寧に恐れ入ります」と返すといいでしょう。
お香典は必ず表書きを確認してください。名前を名字しか書いていない人には、あとで判別しやすくなるよう、下の名前もお聞きしましょう。

葬儀の受付(5)葬儀の参列者に芳名帳へ記帳してもらう

お香典を預かったら、葬儀の参列者に芳名帳へ記帳をお願いします。芳名帳は葬儀後、香典返しを送るときも必要です。「恐れ入りますが、ご住所とお名前をご記入ください」と伝えるといいでしょう。遺族が判別しやすいよう、名前はフルネーム、会社関係の人は会社名も記入してもらいましょう。
筆記具は手渡しだと丁寧ですが、混み合っているときは無理に渡さなくてもかまいません。芳名帳の横へ2~3本そろえて、取りやすいようきれいに並べておけばOKです。
記帳が終わったら、預かった香典袋の裏に、芳名帳の頭に振った番号と同じ番号を記しておきます。
お香典を預かるのと、芳名帳への記帳をお願いするのとは、順番が前後することも多いです。適宜対応しましょう。

葬儀の受付(6)葬儀の会葬礼状と返礼品を渡す

記帳が終わった参列者には、「ありがとうございます」と伝えて会葬礼状や返礼品を渡します。お香典が連名になっている場合は、全員に行き届くよう返礼品の数を確認して渡しましょう。
葬儀の規模や参列者の数によっては、記帳に時間がかかることも多いです。芳名帳の数を増やして受付窓口を大きくすることもありますが、返礼品を渡す場所を別に用意することもあります。
返礼品の引換所を別に用意する場合は、引き換え券を渡したり案内をするなどして対処しましょう。

葬儀の受付(7)葬儀会場へ案内する

返礼品を渡し、受付が終わったら、「告別式はあちらで行います。どうぞお進みください」などと伝え、参列者を葬儀会場へ案内しましょう。葬儀の規模が大きい場合は、案内係が誘導します。
雨天時は、会場が滑りやすくなることもあるので注意し、傘立ての乱れも適宜直すようにしましょう。
葬儀にはご年配の人も多く訪れます。ご年配を案内する場合は手を引く、手荷物を持つ、入り口のドアを押さえておくなど、積極的に配慮します。遺族に面会を希望する人がいれば、遺族の元まで案内すると丁寧です。
会場によっては、上着や大きな荷物を預かるスペースがあります。利用できる場合は、必要な人には声をかけ、ホテルのクロークのように、コートや荷物を預かって、帰りに引き換えできるよう番号札を渡します。
ただしトラブルを避けるために、貴重品は預からないようにしましょう。「貴重品はお手元にお願いします」と伝えてから預かりましょう。

葬儀の受付(8)お香典は葬儀の会計係に渡す

受付で受け取ったお香典は、参列者が目の前を立ち去ってから会計係へ手渡します。
お香典は現金が包まれていますし、参列者によっては高額を包んでいることもあります。あとで問題が起こらないよう、注意して取り扱いましょう。

葬儀の受付(9)弔電や供物が届いたら葬儀を取り仕切っている人へ報告

葬儀の受付には弔電や供物なども届きます。参列者だけでなく、届け物にも随時対応しましょう。
弔電や供物、供花などが届いたときは、まず、どこの誰から届いたかを記帳します。記帳がすんだ後、会場係や葬儀社のスタッフなど、会場を取り仕切っている人へ報告しましょう。
葬儀の最中に届け物を受け取ったときは、弔電であれば記帳をしてから、世話役や進行係に渡します。供物の場合は記帳だけして、後ほど渡せるようにしておきましょう。

葬儀の受付(10)受付終了後はお香典の整理と後片付け

葬儀が無事に済んだあとも、受付には仕事が残っています。葬儀後は、主にお香典の整理と後片付けを行います。すべての受付の事務処理が終了したら、世話役や責任者にあいさつをしてから帰宅します。

お香典の記入漏れのチェック

まずは預かったお香典を芳名帳とを見比べてもう一度チェックします。住所、氏名、会社名などの記入漏れがないか、確認しましょう。名刺も預かった分はまとめておきましょう。

お香典の開封

責任者から指示があれば、お香典袋を開封して香典帳へ記入することもあります。中身を改めるのと同時に、芳名帳に書かれた参列者の氏名と住所などを確認し、預かった金額を香典帳に記入します。芳名帳や香典袋の番号を参考に、間違いがないよう注意しましょう。

受付の事務引き継ぎ

整理ができたら、責任者から世話役や葬儀を管理する人へ、整理したお香典や名刺、芳名帳を渡します。参列者から伝言がある場合は、一緒に伝えましょう。

会葬礼状や返礼品をまとめる

受付に残った、葬儀の会葬礼状や返礼品は、一つにまとめておきます。葬儀社や世話役など責任者に渡します。

葬儀の受付をするときの基本マナー

受付を依頼されたらできる限り引き受ける

葬儀の受付を依頼されたときは、できるだけ断らず、引き受けるのがマナーです。
受付は、近所の人か会社関係に頼むことが多いので、地域によっては、町内会の慣習や、既に葬儀時の役割分担が決まっている場合もあるでしょう。
近所や会社関係で受付をすることが多いのは、「直系以外の親族」が受付を行うのが一般的だからです。
受付係は基本的に、葬儀が始まってもほとんど受付を離れることができません。途中で葬儀に参列することは失礼にあたるため、遺族が受付をすると何かと不都合が生まれやすいです。
小規模の葬儀では親族が行うこともありますが、誰もいなければ代行を頼むことのほうが多いです。

丁寧な言葉遣いや対応を

葬儀の受付は、全体の総合窓口のような役割をもち、遺族の代わりに参列者を対応する場所です。お香典を預かるだけではなく、さまざまな対応が求められます。丁寧な言葉遣いでのあいさつ、声かけを意識しましょう。
例えば記帳をお願いするときも、「恐れ入りますが」と伝えてから「こちらにお名前をご記入ください」というだけで丁寧な印象に変わります。
受付は葬儀会場の場所や、開始時刻の質問をされることも多いです。事前に情報を頭に入れておきましょう。

葬儀の受付時は立ち居ふるまいも意識しよう

葬儀の受付をしている間は、携帯電話の電源は切るか、マナーモードにしておきます。受付をしていると、知人に出会うことも多いです。ですが、葬儀の場であるということをわきまえ、会話のトーンや内容には気を付けてください。

葬儀の受付を頼まれたときの服装マナー

男女ともに葬儀参列の服装に準じる

葬儀で受付をするときは、参列する場合の服装に準じます。男性も女性も喪服もしくは略礼装に整えます。学生の場合は、制服を着用すれば問題ないでしょう。

男性が葬儀受付をする時の服装

男性の喪服は、上下黒のブラックスーツを着用するのが一般的です。ワイシャツは白無地がベストです。
ネクタイや靴下、靴は黒でそろえましょう。靴はエナメルのような光沢のある素材は、葬儀の際着用を控えます。カバンを持参する場合も、革製品は殺生をイメージさせるため、合皮や綿素材のものを持ちます。

女性が葬儀受付をするときの服装

女性の場合は、肌の露出が少ない黒のワンピースやスーツ、アンサンブルといったブラックフォーマルを喪服とするのが一般的です。ストッキングは黒を用意しましょう。
靴やバッグは男性と同じように、光沢や飾り、殺生をイメージさせる革製品を避けます。女性の場合は、歩き回ることも想定して、ヒールは低めの靴を履くほうがいいでしょう。
メイクは薄めに整え、ロングヘアであればまとめ髪に整えます。ただし髪飾りは派手なものを避け最小限にとどめ、まとめ髪も清潔感を意識しましょう。

学生が葬儀受付をするときの服装

学生が受付をする場合は、制服がなければ黒やグレー、紺色のブレザーに同じ色のズボンやスカートを合わせるといいでしょう。シャツやブラウスは白無地にします。

身だしなみや必要な持ち物の確認も忘れずに

受付を頼まれたら、通常の葬儀より早めに到着するよう準備する必要があります。出かける前には、ハンカチや数珠などの持ち物を確認し、受付に立つ前には、身だしなみもチェックしましょう。
冬場は防寒対策をして受付に臨もう
葬儀の受付場所は、葬儀会場の入り口に置かれるため、時期によっては寒いこともあります。
ストーブはあっても寒さを感じることが多いので、できるだけ厚着したり、カイロを張るなどの防寒対策をとりましょう。
寒いからといって、ポケットに手を突っ込んだり、手袋をするのはマナー違反なので気をつけましょう。

葬儀の受付をするときは、大まかな流れを頭に入れておこう

遺族の一員のような気持ちで受付に臨もう

葬儀の受付は、地域や葬儀の形式によって多少違いはあるものの、大まかな流れは同じです。最初は緊張するかもしれませんが、慣れれば大体の動きは把握できるはずです。とはいえ、任される仕事は多岐にわたり、現金を扱うため注意は必要です。参列者の誘導や雨天時など、は、状況に合わせて臨機応変に対応するようにしましょう。
葬儀の受付を依頼されたときは、遺族の代わりに受付をしている、という意識を持って、丁寧に対応するよう心がけましょう。

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