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家族葬とは~どこまで呼ぶ?家族葬の内容と流れ、メリットと注意点

家族葬(かぞくそう)は、家族や親族、親しい友人のみが参列する小規模な葬儀形式です。一般的な葬儀と比べて、形式にとらわれず、遺族が故人との時間をゆっくり過ごせる点が特徴です。近年、核家族化や経済的負担の軽減、コロナ禍の影響などにより、家族葬を選ぶ人が増えています。
家族葬の特徴
参列者が限定される
家族葬では、参列者を近親者や親しい友人に限定します。
参列者の範囲
- 基本的には親族のみ(配偶者、子ども、孫、兄弟姉妹、親)
- 親しい友人や知人が参加することもある
- 会社関係者や近所の人は呼ばないケースが多い
- 場合によっては「喪主と数名のみ」の超少人数で行うことも
参列者の目安
形式 | 参列者数 | 参列対象 |
---|---|---|
一般葬 | 50~200人 | 遺族・親族・友人・会社関係者・近隣住民 |
家族葬 | 5~30人 | 遺族・親族・親しい友人 |
直葬 | 1~5人 | 遺族のみ |
一般葬とほぼ同じ流れ
家族葬は規模が小さいものの、葬儀の流れは一般的な葬儀と大きく変わりません。
一般的な家族葬の流れ
- お通夜(省略することも可能)
- 仏教式なら僧侶の読経、神道なら神職の祝詞奏上
- 参列者による焼香・玉串奉奠
- 遺族が故人と最後の夜を過ごす
- 葬儀・告別式
- 宗教儀礼のもと、故人を弔う
- 家族がメッセージを伝えたり、思い出を語ることも
- 火葬
- 火葬場での最後のお別れ
- 遺骨を骨壺に納める「骨上げ」の儀式
- 精進落とし
- 参列者と共に食事をし、故人を偲ぶ
- 納骨・法要
- お墓や納骨堂に遺骨を納める
通夜を省略するケースも増えている
- 費用を抑えるため、「一日葬」として葬儀のみを行うこともある
- 遠方からの参列者が少ないため、通夜が不要になる場合も
一般の弔問客を呼ばない
家族葬では、会社関係者や近隣住民などの一般の弔問客を招かないことが一般的です。
事前に「家族葬で行う」ことを知らせる
- 訃報を出す際に「家族葬にて執り行いました」と明記する
- 参列を辞退してもらうために、香典や供花の辞退を伝えることが多い
葬儀後の弔問を求められることがある
- 「葬儀に参列したかった」と後日訪れる人がいる場合がある
- 事後対応として「お別れ会」や「偲ぶ会」を開催するケースも
形式にとらわれない自由な進行
家族葬は、従来の葬儀に比べて自由な演出が可能です。
宗教儀礼の有無を選択可能
- 仏教葬だけでなく、神道葬・キリスト教葬・無宗教葬など、希望に応じた形式を選べる
- 音楽葬や映像演出など、故人の人生を表現する個性的な演出も可能
故人の希望を尊重しやすい
- 故人が好きだった音楽を流す
- 家族だけで思い出話をしながら送る
- 故人の写真や映像をスライドで流す
費用が抑えられる
家族葬は一般葬に比べてコストを抑えやすい葬儀形式です。
- 参列者が少ないため、飲食代・返礼品の費用が少ない
- 大規模な会場が不要
- 香典収入も減るため、事前に予算計画を立てることが重要
家族葬の費用について
家族葬の費用は一般葬よりも抑えられる傾向にありますが、具体的な金額は規模や内容によって異なります。一般的に、家族葬の平均費用は50万~100万円程度ですが、火葬だけの簡素なものから、一般葬に近い形式まで幅広い選択肢があります。
家族葬の費用相場
家族葬の費用は主に「葬儀一式の費用」「飲食接待費」「お布施(宗教者への謝礼)」の3つに分けられます。
項目 | 費用相場 |
---|---|
葬儀一式(基本プラン) | 30万~70万円 |
飲食接待費(会食・返礼品など) | 5万~20万円 |
僧侶へのお布施 | 10万~50万円 |
合計 | 50万~100万円 |
家族葬の費用は「葬儀社のプラン」「火葬場の利用料金」「僧侶の読経の有無」などによって変動します。
家族葬の費用内訳
葬儀一式の費用(30万~70万円)
家族葬の基本プランには、以下の費用が含まれることが一般的です。
項目 | 内容 | 費用目安 |
---|---|---|
祭壇費 | 花祭壇やシンプルな白木祭壇 | 10万~30万円 |
棺(ひつぎ) | 白木棺・布張り棺・高級棺など | 5万~15万円 |
遺影写真 | 額縁付きの遺影写真 1万~3万円 | |
安置料金 | ご遺体を葬儀まで保管する費用 | 1万~5万円 |
納棺の儀 | 故人を棺に納める儀式 | 2万~5万円 |
火葬費用 | 火葬場使用料・骨壺代 | 2万~10万円 |
式場使用料 | 葬儀会場の利用料金 | 5万~15万円 |
運搬費 | 搬送車両(寝台車・霊柩車) | 2万~5万円 |
司会・スタッフ費 | 司会者・スタッフの手配 3万~10万円 | |
合計 | 30万~70万円 |
💡 ポイント
- 家族葬では「祭壇をシンプルにする」「安置期間を短縮する」などで費用を抑えられる。
- 自宅で葬儀を行う場合、会場費を節約できる。
飲食接待費(5万~20万円)
参列者に提供する会食や返礼品の費用。
項目 | 費用相場 |
---|---|
通夜振る舞い(食事) | 1人3,000円~5,000円(×人数) |
精進落とし(食事) | 1人5,000円~10,000円(×人数) |
返礼品(香典返し) | 1人3,000円~5,000円(×人数) |
合計 | 5万~20万円 |
💡 ポイント
- 家族葬では食事の提供を省略することも可能。
- 香典を辞退する場合、香典返しの費用は不要。
僧侶へのお布施(10万~50万円)
仏教葬の場合、僧侶へのお布施が必要です。
項目 | 費用相場 |
---|---|
読経料 | 5万~20万円 |
戒名料 | 5万~30万円 |
お車代(交通費) | 5千円~1万円 |
御膳料(食事代) | 5千円~1万円 |
合計 | 10万~50万円 |
💡 ポイント
- 家族葬では「戒名なし」や「読経なし」を選ぶことで、お布施を抑えることができる。
- 無宗教葬にすればお布施の支払いが不要。
家族葬と他の葬儀の費用比較
葬儀形式 | 費用相場 | 参列者数 | 香典収入の有無 |
---|---|---|---|
一般葬 | 100万~200万円 | 50~200人 | あり |
家族葬 | 50万~100万円 | 5~30人 | なし(辞退が多い) |
一日葬 | 30万~80万円 | 5~30人 | なし(辞退が多い) |
直葬 | 10万~30万円 | 1~5人 | なし |
💡 家族葬の費用を抑える方法
- 葬儀社の「家族葬プラン」を利用(セットプランの方が割安)
- 通夜を省略し、一日葬にする
- 僧侶を呼ばず、無宗教で行う
- 自宅葬を選び、会場費を削減
家族葬の費用を安くする方法
✅ セットプランを利用する
「火葬のみ」「シンプルな家族葬」など、パッケージプランを選ぶと安くなる。
✅ 通夜を省略して一日葬にする
一日で済ませることで会場費や人件費を節約できる。
✅ 祭壇をシンプルにする
一般的な祭壇ではなく、小規模な花祭壇や写真だけのシンプルな形式にする。
✅ 自宅葬を選ぶ
斎場やホールを借りると会場費がかかるため、自宅で行うことで費用を抑えられる。
✅ 宗教儀礼を省略する
お布施や戒名料を支払わないことで、大幅に費用削減が可能。
家族葬のメリットとデメリット
家族葬のメリット
家族葬は、近親者や親しい人だけで行う小規模な葬儀の形式であり、一般的な葬儀とは異なる特徴を持っています。そのため、家族葬にはさまざまなメリットがあり、特に「静かに故人を見送りたい」「葬儀の負担を減らしたい」と考える人に適しています。
故人とゆっくりお別れできる
一般葬では、多くの参列者が訪れるため、遺族は弔問客への対応に追われてしまい、落ち着いて故人と向き合う時間が少なくなりがちです。一方、家族葬では参列者が限られているため、形式にとらわれず、心静かに故人を見送ることができます。
メリットのポイント
- 遺族が葬儀の進行に忙殺されず、ゆっくりと故人とお別れできる
- 形式ばった挨拶や接待が少なく、精神的な負担が軽減される
- 故人を偲びながら、家族だけの時間を大切にできる
葬儀の準備や進行が比較的簡単
一般葬では、親族だけでなく、仕事関係者や近所の方々など多くの人が参列するため、会場の準備、受付対応、香典管理など、手配すべきことが多くなります。一方、家族葬は限られた人数で行うため、準備や運営の手間を大幅に減らすことができます。
メリットのポイント
- 大規模な会場の手配が不要で、比較的短期間で準備ができる
- 受付や進行の手配が簡素化され、遺族の負担が軽くなる
- 葬儀社のプランを利用すれば、最小限の準備で進行できる
費用を抑えやすい
一般葬では、会場費、通夜振る舞い、会葬返礼品、供花などの費用がかかりますが、家族葬では参列者が少ないため、こうした費用を抑えることができます。また、必要なサービスのみを選べるため、無駄な出費を避けることができます。
メリットのポイント
- 会場費や食事の費用を抑えられる
- 供花や香典返しの準備が最小限で済む
- 遺族の意向に応じたシンプルな葬儀が可能
形式にとらわれず自由な葬儀ができる
一般葬では、宗教的な儀式やしきたりに則った進行が求められることが多いですが、家族葬では遺族の意向を反映しやすく、自由な形式で執り行うことができます。無宗教葬や音楽葬、映像を使った演出など、故人の好みに合わせたオリジナルの葬儀も可能です。
メリットのポイント
- 宗教儀式にこだわらず、自由なスタイルで葬儀を行える
- 故人の趣味や好きだった音楽を取り入れることができる
- 少人数なのでアットホームな雰囲気の葬儀が可能
参列者への気遣いや対応の負担が少ない
一般葬では、多くの弔問客に対して挨拶や接待をする必要がありますが、家族葬では参列者が限られているため、遺族の負担が大幅に軽減されます。また、弔問客への香典返しや礼状の手配などの手間も少なくなります。
メリットのポイント
- 受付や案内、挨拶回りなどの手間が省ける
- 参列者への対応に追われることなく、遺族が心を込めて見送れる
- 後日のお礼状や香典返しの準備が簡単になる
故人の遺志を尊重しやすい
故人が生前、「身内だけで静かに葬儀をしてほしい」と希望していた場合、家族葬はその意向を尊重するのに適しています。また、遺族としても「周囲に気を使わずに故人を見送りたい」と考える人にとって、最適な選択肢となります。
メリットのポイント
- 故人の「静かに見送ってほしい」という希望を叶えられる
- 遺族も精神的な負担を感じることなく、ゆっくりお別れできる
- 過度な儀礼を省き、故人に寄り添った葬儀が可能
コロナ禍などの感染症対策として適している
近年、感染症のリスクを考慮して葬儀の規模を縮小するケースが増えています。家族葬は、少人数で密を避けながら行えるため、感染症対策の観点からも適した形式です。
メリットのポイント
- 参列者を最小限に抑えることで感染リスクを低減できる
- 高齢の親族が安心して参列できる
- 必要に応じてオンライン配信を活用し、遠方の親族も参加できる
遺族の意思を優先しやすい
一般葬では、多くの人が関わるため、親族や会社関係者の意向を考慮しなければならないことが多いですが、家族葬は基本的に遺族中心で行われるため、外部の意向に左右されることが少なくなります。
メリットのポイント
- 遺族の希望に沿ったシンプルな葬儀を実現できる
- 余計な気遣いや外部の意見を気にせずに進行できる
- 故人を偲ぶことに専念できる環境を作れる
家族葬には、「落ち着いて故人とお別れできる」「葬儀の準備や費用を抑えやすい」「形式にとらわれず自由な葬儀ができる」「弔問客対応の負担が少ない」といった多くのメリットがあります。特に、家族や親しい人だけで心静かに見送りたいと考える場合、家族葬は理想的な選択肢となるでしょう。
ただし、家族葬には「参列できなかった人への配慮」や「費用の自己負担が増える可能性」などのデメリットもあります。そのため、事前に家族で十分に話し合い、適切な葬儀の形を選ぶことが重要です。
家族葬のデメリット
家族葬は、一般的な葬儀と比べて小規模で行われるため、家族や親しい人だけで故人を見送ることができるメリットがあります。しかし、選択する際にはいくつかのデメリットやリスクも考慮する必要があります。
参列できなかった人からの不満やトラブル
家族葬は、親族やごく親しい友人のみで行うため、後になって「どうして知らせてくれなかったのか」と不満を持つ人が出る可能性があります。特に、仕事関係の人や故人と親しかった友人・知人が参列できず、後から訃報を知って悲しむことも考えられます。
対策
- 家族葬の後に「お別れの会」や「偲ぶ会」を開催する
- 事前に親戚や関係者へ家族葬で行う旨を伝えて理解を得る
- 訃報を伝える際に、「家族葬のため参列はご遠慮ください」と明確に伝える
香典収入が少なく、費用負担が大きくなる
通常の葬儀では、多くの弔問客から香典をいただくため、葬儀費用の一部を賄うことができます。しかし、家族葬では参列者が少ないため、香典収入も少なくなり、結果として家族の自己負担が増えるケースがあります。
対策
- 事前に葬儀の予算を決め、費用を抑えるプランを検討する
- 葬儀費用を抑えられる「直葬」や「1日葬」なども検討する
- 香典を受け取るかどうかを家族で話し合い、希望者のみ受け取るようにする
遺族間の意見の相違
家族葬は親族間の意向が強く反映されるため、意見が分かれることがあります。「もっと多くの人に参列してほしい」「親族だけでなく友人にも来てほしい」など、家族間で考えが異なる場合、トラブルの原因となる可能性があります。
対策
- 事前に家族や親族としっかり話し合い、全員が納得する形を決める
- 葬儀社に相談し、親族だけでなく親しい友人まで含めた家族葬の形も検討する
- 事前に「家族葬とはどの範囲までを含めるか」を明確にしておく
社会的なお別れの場がなくなる
一般葬では、仕事関係者や友人・知人が故人と最期のお別れをする場がありますが、家族葬ではそうした機会がなくなります。そのため、「故人に最期に会いたかった」と悔やむ人が出る可能性があります。
対策
- 家族葬の後に、後日「偲ぶ会」や「お別れの会」を開く
- 訃報の際に「家族葬のため参列はご遠慮ください」と伝える一方で、後日弔問を受け付ける旨を伝える
- 遺影や思い出の品を展示するオンライン追悼ページを作成する
僧侶・宗教者を呼ばないとトラブルになる場合がある
家族葬では、無宗教で簡素に行うケースもありますが、故人や家族が信仰していた宗教の習慣を軽視すると、親族間でトラブルになることがあります。特に、菩提寺がある場合、僧侶を呼ばなかったことでお寺との関係が悪化する可能性があります。
対策
- 家族の信仰を考慮し、最低限の宗教儀礼を行うかどうか決める
- 菩提寺がある場合は事前に相談し、戒名や供養の手配を確認する
- 無宗教葬を希望する場合は、親族にしっかり説明し、理解を得る
家族葬を希望しない人には向かない
故人が生前、一般葬を希望していた場合や、「多くの人に見送られたい」と考えていた場合、家族葬にすることで故人の意向に反する可能性があります。また、遺族の中には「たくさんの人に参列してもらった方が供養になる」と考える人もいるため、全員が家族葬に納得できるとは限りません。
対策
- 生前に「どのような葬儀を希望するか」を話し合い、エンディングノートなどに記録しておく
- 家族葬にする場合、親族や故人の意向を確認し、最善の選択をする
- 家族葬と一般葬のどちらがよいか、専門家(葬儀社・行政書士など)に相談する
追加費用が発生する可能性がある
家族葬は一般的な葬儀よりも費用が安く抑えられると言われていますが、実際にはオプション費用が発生するケースもあります。たとえば、会場の使用時間延長、遺影写真の作成、供花の追加、火葬場の待機時間による費用増加などが考えられます。
対策
- 葬儀社と契約する前に見積もりをしっかり確認する
- 追加料金が発生しやすい項目を事前にチェックする
- 必要最低限のサービスに絞ることで費用をコントロールする
家族葬の流れ
基本的に一般葬と同じ流れ
家族葬の流れは基本的に一般葬と同じです。
ご遺体の安置後に通夜を行い、翌日に葬儀・告別式、火葬を行うというように、2~3日に分けて葬儀を進める流れです。
仏式など各宗教・宗派の宗教儀礼に基づいて葬儀を行う場合は、それぞれの宗教者を招いて通夜から火葬まで葬儀を執り行います。
ただし一日葬の場合は、通夜を省略し告別式のみで火葬へと進みます。
参列してもらう人には日時・場所を連絡する
訃報の知らせや参列のお願いを連絡する手段も、一般葬と同じです。
葬儀の日程や場所について、電話もしくは直接伝え参列を依頼しましょう。
家族葬の人数
10~30名程度が一般的
家族葬の人数にはっきりした定義はありませんが、10~30名程度で行うのが一般的です。
多くても50名程度までと考えていいでしょう。
明確な決まりはないが小規模に収まる範囲で
家族葬はどこまでの関係者を呼ぶか明確な決まりはありませんが、小規模に収まる範囲というのが基本です。
あまり人数が多すぎると葬儀のプランや費用も変わってくるからです。
誰に参列してもらうかについては、できれば事前に考えておくほうがいいでしょう。
はっきりした定義がない分、いざとなると誰に連絡する・しないを決めるのに時間がかかりやすいからです。
大切な人を亡くした直後は動揺し、考えがまとまるまで時間がかかりやすいものです。
事前に決めておけば万が一のときもスムーズに連絡できるでしょう。
家族葬はどこまで呼ぶべき?
友人や会社関係は?家族葬を案内する人の範囲
家族葬の準備を行う際、遺族が意外と頭を悩ませることになるのが、家族葬を案内し、葬儀に呼ぶ人の範囲です。家族葬を案内する人の範囲の決め方について基本の考え方をご紹介します。
近親者・親しい友人など身内が基本
家族葬の参列をお願いする人の範囲は、近親者のほか、故人と親しかった友人・知人が基本です。
家族・親族については、直系の家族と故人の子どもの家族、故人の配偶者の家族及び兄弟姉妹までの範囲といわれています。
友人・知人については、年賀状などで親しい人がいるか確認するのもいいでしょう。
どこまでの関係の人に葬儀の案内をするべきか迷ったときは、基本の考え方を基準に判断するといいでしょう。
声をかける範囲に決まりはない
家族葬で参列の案内をする人の範囲は、基本は近親者や親しい友人までですが、実際は明確な定義があるわけではありません。あくまで家族の考え方次第です。
家族だけで故人とゆっくり最期の時間を過ごしたいと思えば、親族や友人・知人に案内を出さなくてもかまいません。
一方、故人が親しくしていた人にはなるべく参列してもらいたいと思えば、近しい友人・知人、所属していたグループの関係者に声をかけてもいいでしょう。
故人が最後に会いたいかどうかを基準に選ぶのもいいかもしれません。
案内するか迷ったら参列してもらうのがベター
家族葬の案内をする範囲に決まりがない分、参列してもらうか迷ったら声をかけるほうがベターです。
人によっては葬儀後に訃報を知り、「どうして葬儀に呼んでくれなかったのか」と悲しんだり怒ったりすることもあるからです。
葬儀後に問い合わせがあったとき、案内をしなかった理由をはっきり伝える自信がない場合や、葬儀後の弔問に対応できない場合は、参列してもらうほうがいいでしょう。後々のトラブル防止になる場合もあるからです。
葬儀に参列してもらう人以外には案内を控える
家族葬を行う場合、葬儀に参列してもらう人以外には案内を控えるのが一般的です。
全員に案内を出すと、「家族葬だから参列しないほうがいい」と考える人がいる一方で、「案内があったのだから、参列したほうがいい」と考える人もいるからです。
案内を受け取った人が迷わないようにするためにも、参列してもらいたい人にだけ案内をすることを基本に考えましょう。
会社への案内
故人が会社員だった場合は、会社への連絡も必要です。
会社への連絡は、直属の上司もしくは総務担当者に電話で伝えるのが一般的です。
連絡する際は家族葬で行うことと、参列をお願いしない場合は弔問を辞退することも連絡しましょう。
会社によっては香典や弔問の段取りをすることもあるからです。
遺族の中にも会社員の人がいれば、それぞれの会社にも連絡しましょう。
ほとんどの会社に忌引き休暇制度があるはずです。誰が亡くなったかを上司や総務担当者に連絡の上、就業規則に従って手続きし、休み中の仕事のサポートを依頼しましょう。
参列を断るときの連絡
家族葬の連絡は、参列をお願いしない人以外は事前に知らせず、葬儀後にハガキなどで報告するのが一般的です。
ですが、家族だけで葬儀を行う場合は、親族だけには葬儀前に訃報を知らせるということもあるでしょう。事前に知らせた上で参列を断るときのポイントは、はっきり「参列を遠慮したい」と伝えることが大切です
あいまいな言い方だと、相手も迷ってしまうからです。
参列だけでなく、香典や供花、弔電も辞退するつもりであれば、同じようにはっきり断るようにしましょう。
故人の遺志、遺族の意向だと伝えれば、ほとんどの人が納得してくれるはずです。
家族葬で起こりがちなトラブル
家族葬することを火葬前に知られる
家族葬で起こりがちなトラブルとして、身内だけで家族葬を行おうと思っていても、葬儀をすることを知られる場合があることです。
例えば近所の人だと、病院から自宅へご遺体を搬送するための寝台車や、打ち合わせで葬儀社のスタッフが出入りするなどで伝わることがあります。
身内だけでひっそりと見送ろうと思っていても、近所の人に知られることで対応に追われることがあるかもしれません。
慌てて対応することにならないよう、あらかじめ葬儀社のスタッフと葬儀の段取りをしておくことが大切です。
葬儀に呼ばれなかった人からの問い合わせ
無事に家族葬を終えたあとに多いトラブルの一つが、訃報を伝えず葬儀への参列を案内しなかった人からの問い合わせです。
中には葬儀に参列したかったという気持ちから、どうして知らせてくれなかったのかと悲しんだり怒ったりする人がいるかもしれません。特に親族の場合は後々の付き合いに影響してくることも考えられます。
親族の場合は、トラブルを防ぐためにも、あらかじめ直接電話などで家族葬を行うことや、参列を辞退する旨を伝えておきましょう。
その他の関係者についても、葬儀後にハガキで知らせるときには参列を辞退した理由を添え、相手に納得してもらえるよう配慮が大切です。
葬儀後の弔問客対応に追われる可能性
遺族にとって予期せぬトラブルのひとつに、葬儀後の弔問客が思ったより多く訪れる可能性もあげられます。葬儀の最中と違い、葬儀後はいつ訪問されるかわからない面もあり、遺族としては対応に困ることがあるかもしれません。
例えば葬儀後の知らせで訃報を知り、「どうしても故人と最後のお別れをしたい、お線香をあげたい」という思いで自宅に訪れる人がいるかもしれません。あるいは人づてに訃報を知り、家族葬と知らず弔問に訪れる人が出てくる場合もあるでしょう。
故人が社交的な性格で付き合いのある人が多ければ多いほど、予期せぬ訪問の可能性は高くなると考えられます。付き合いの広さによっては、かえって一般葬を検討したほうがいいケースもあるでしょう。
返礼品の用意を
葬儀後の弔問は、葬儀後数日、もしくはそれ以上経ってから訪れる人もいます。
香典や供花についても、辞退していても持参される場合があるでしょう。
急な来客にも対応できるよう、自宅にはあらかじめ、ある程度の会葬返礼品を用意しておくほうが無難です。
香典を辞退しても渡される場合がある
家族葬では香典を辞退することが多いですが、受け取らないつもりでも渡されることがあります。
例えば、以前香典を渡した人から「あの時いただいたから」と渡されるケースなどです。
事前に辞退する旨を伝えていても、香典を持参された場合は断らないほうが無難です。相手のお気持ちで渡されるものだからです。香典以外に供花、弔電をいただいた場合も同様です。
葬儀当日に受け取った場合は、失礼にならないよう通夜ぶるまいなど料理の準備、会葬返礼品を渡し、後日香典返しができるよう準備しましょう。
香典額が少なく費用の支払いが増えるかも
思ったより費用の支払いが増えるというのも、家族葬で起こりやすいトラブルです。
香典を辞退する場合は葬儀費用が全額持ち出しになりますし、香典をいただく場合でも参列者数が限られる分、一般葬より総額は少なくなるからです。
近隣の人に知られず、極力ひっそりと葬儀を行うために霊安室や葬儀場の費用がかかることも多いでしょう。
一般葬と比べ費用を抑えやすいとはいえ、持ち出しの費用が多くなる可能性もあると知った上でプランを検討しましょう。
家族葬を行う場合の注意点
案内をしない人には理由を説明する
訃報を知らせたり葬儀の案内をしない人には、葬儀後に必ず挨拶状を出しましょう。
後々トラブルを防ぐためにも、身内だけで家族葬を行ったことを記載し、理解を得ることが大切です。
例えば「まことに勝手ながら、通夜・葬儀は近親者のみで執り行いますので、弔問等はご遠慮ください」と伝えれば、失礼にもならないでしょう。
葬儀に参列してもらう人の連絡漏れがないように
家族葬は参列してもらう人を限定する分、連絡漏れがないようにすることも大切です。
故人が親しく付き合っていた人など、大切な存在だった人には声をかけ忘れないよう注意しましょう。
家族葬で葬儀社を決めるポイントは?
葬儀社によってプランはさまざま。複数に見積もりを
家族葬を行う人が増えたことで、多くの葬儀社もプランを用意しています。
ですが、プラン内容や料金設定は葬儀社によってさまざまです。
中には一見安そうな価格設定でも、必要な物品を足すにはオプションとして追加しなければならない場合もあります。
安心して葬儀を行うためにも、事前に見積もりを出してもらうことが大切です。
できれば最初から1社に絞らず、複数の葬儀社に見積もりをとり、比較検討することをおすすめします。
見積もりを比較することで、より希望の予算で、納得のいく葬儀内容やサービスを受けられる可能性が高いからです。
選ぶにあたっての基準は人それぞれですが、内訳が細かく、項目ごとに説明や見積もりが提示されているか、説明が分かりやすく親身になって相談に乗ってくれるかどうかが目安になるでしょう。
反対におおざっぱな見積もりで質問してもあいまいな答えしか返ってこない葬儀社は避けたほうが無難です。
事前に見積もりや相談をすることで、必要ないオプションを追加されたり、葬儀後に高額な費用を請求されるなどのトラブル防止にもなります。
納得いく葬儀を行うためにも、安心して任せられる葬儀社を選びましょう。
人数が増えそうなら一般葬も検討を
葬儀社の家族葬プランは参列者数で設定されていることが多く、人数が増えるほど費用が変動しやすいです。
家族葬の人数は10~30人が一般的、多くても50人です。
参列者の人数によっては一般葬を検討したほうがいいでしょう。
例えば、10人前後で葬儀を行う場合と、30人~50人程度が参列する家族葬とでは、式場の大きさや準備する食事の量、葬儀に関わるスタッフの人件費も変わってきます。
葬儀に必要な物品は、基本的に一般葬とほぼ同じなので、人数規模によっては費用が思ったより安くならない可能性もあります。
あるいは料理のグレードをあげたり、オプションを追加するなどで費用がかかることもあるでしょう。
あまりに人数が増えそうな場合や葬儀社のプラン内容によっては、一般葬も検討するのもひとつです。
いずれにせよ、葬儀に参列できず悲しい思いをする人が出ないよう、配慮することが大切です。
斎場選びは立地も考慮
葬儀場選びは立地や交通アクセスにも配慮が必要です。
高齢の参列者が多い場合は駅チカの葬儀場や、エレベーターがある葬儀場を選ぶほうがベターです。
式場の大きさや使用料に目が行きやすいですが、自宅や最寄り駅からアクセスしやすいかなども考慮して決めましょう。
家族葬に参列する際のマナー
知らせがないときは参列しないのが基本
家族葬に参列するかどうかの判断は、遺族から参列してほしいと案内があったときだけ参列するのが基本です。訃報を知っていても、案内がない場合は参列を控えましょう。
書面で連絡を受けた場合は、逝去の知らせとともに葬儀の案内が記載されていれば参列しましょう。
家族葬の場合、遺族は参列してほしい人だけに案内するのが一般的だからです。
書面で家族葬の知らせがあっても、「故人や遺族の意思により、身内だけで家族葬をするので参列を辞退する」という内容であれば、参列しないのがマナーです。
判断に迷った場合は確認を
書面で家族葬の案内を受けた場合、まれに家族葬を行うことと葬儀の日程・場所が記されているだけで、遺族の考えがわからない場合があります。
参列していいか判断に迷ったときは、遺族に直接確認するといいでしょう。
参列時の服装
案内がなければ準礼装を着用
家族葬は遺族も準礼装を着用することが多いです。特に案内がなければ、通夜、葬儀・告別式ともに参列者側も準礼装を着用するのが一般的です。
男性はブラックスーツ、女性はブラックフォーマルのアンサンブルやスーツ、ワンピースなどが準礼装となります。基本的に靴やネクタイ、靴下、ストッキングなどは黒無地で統一します。
ただし通夜は仕事から駆け付ける場合もあるため、略礼装でもかまいません。
男性の場合は地味な色のダークスーツ、女性の場合もダークスーツか地味な色のワンピースなどで整えます。できれば靴下やネクタイ、靴などの小物も、黒や地味な色のものに変えていくとベターです。
香典は持参する?
香典辞退の場合は持参しない
家族葬の場合、一般葬に比べ香典を辞退するケースが多いです。
案内に香典辞退の旨が記載されていれば、持参しなくてもいいでしょう。
特に記載がない場合も、香典を受け取られないことが多いですが、不安であれば用意し、現地で確認した上で遺族の意向に合わせるといいでしょう。
故人・遺族の思いを実現しやすい家族葬
周囲への配慮と葬儀社選びが大切
家族葬は一般葬に比べ小規模で、案内をする範囲も限定できる葬儀形式です。
費用を抑えやすく、葬儀の様式や内容の自由度も高いことから、故人の遺志や遺族の希望を尊重しやすい葬儀といえるでしょう。
ただし、葬儀参列の案内をしない人への配慮も大切です。参列しない人の中に、故人とお別れをしたい人がいるかもしれないからです。理由の説明はしっかり行い、後々トラブルにならないよう気をつけましょう。
人数が絞り切れず参列者数が多くなりそうな場合や、見積もりの費用が高くなりそうなときは一般葬を検討するのもひとつです。満足いく葬儀を行うためにも、信頼できる葬儀社を選びましょう。
一方で、家族葬に参列するかどうかの判断は、案内があるかを基準に考えるといいでしょう。
葬儀の日程や場所の案内がなければ控えるのがマナーです。
自由度が高い分、家族葬には明確な決まりがあまりありません。ですが、遺族側・参列側ともに相手に配慮することで、故人も安心して旅立てるような葬儀につながるのではないでしょうか。