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家族葬のトラブル事例~揉める原因と知っておきたい対処法
新しい形として認知されている家族葬ですが、トラブルが起こるケースもあるようです。対応を間違えると後々の付き合いに影響するような揉め事に発展することも。今回はこの記事で家族葬でよくあるトラブルの原因や対処法などについて解説します。
家族葬で起こりやすいトラブル事例
家族葬で起こりやすいトラブルは、主に人間関係と金銭的な問題とに分かれます。トラブルは葬儀後に起こることもあります。
親族とのトラブル
家族葬が理解されないことも
家族葬で多いトラブルのひとつは親族とのいざこざです。以前に比べて理解が広まっている家族葬ですが、まだまだ盛大に見送るのが一般的と考える地域や、家族葬を寂しいと感じる人もいるからです。
家族葬自体は親族も呼ばずに行うこともできます。ですが、葬儀に対する価値観が異なる場合、納得してもらえないまま葬儀を行うと、参列できなかった親族から不満が出やすいです。
近所とのトラブル
葬儀に呼ばれず揉めるケースも
近所とのトラブルも家族葬では起こりやすいです。家族葬は近所の人の参列を辞退するケースが多いです。ですが、一般葬で近所の人も参列するのが当たり前の地域では、家族葬をすることで反感を買う場合があるようです。
特に、故人と喪主が長く同居していた場合や、近所づきあいが密な地域に住んでいた場合は注意が必要です。訃報の知らせが遅れただけでも肩身が狭くなることや、遺族がその土地を去らねばならないほど関係がこじれるほど深刻な問題になることもあるようです。
予期せぬ参列者の弔問
故人とお別れできなかったことを後悔する人も
一般的に家族葬は、遺族から参列をお願いされない限りは参列を遠慮するのがマナーです。ですが、中には意図が正確に伝わらず、参列をお願いしていない人が弔問に訪れるトラブルも起こるようです。予期せぬ参列者であっても、故人への思いから来てくれているので、遺族としては無下にできず、慌てて対応するというケースが多いようです。
一方、家族葬だからと参列を控えた人の中にも、故人とお別れができなかったことを後悔する人が出ることがあります。家族葬のあと「参列して見送りたかった」と苦言を呈されるケースもあるようです。
菩提寺とのトラブル
家族葬では、菩提寺とのトラブルも起こりやすいです。特に多いのが菩提寺に連絡せず家族葬を行ったことで、納骨ができないというトラブルです。
家族葬は葬儀の自由度が高いですが、菩提寺がある場合は一言連絡して断りを入れることや、決まりを確認することが大切です。お寺によっては、菩提寺で葬儀を行わないと納骨できない決まりになっていることがあるからです。
金銭的なトラブル
予想より高額な費用がかかるケースも
家族葬は、葬儀費用が思ったより高額になるというトラブルも多いです。一般葬では多くの人が香典を持ってきてくれるため、ある程度葬儀費用に充てられます。一方、家族葬は香典辞退をするケースが多いのに加え、受け取る場合も参列者が限定されます。結果、思った以上に香典額が少なく、持ち出し費用が必要になることがあります。
家族葬を終えた後にトラブルが起こる場合も
家族葬が無事に終わっても、葬儀後の弔問客が思ったより多く、対応に追われるというトラブルもあります。会社関係の人や近所の人が、葬儀には参列できなくても、どうしてもお悔やみを伝えたいと訪れることがあるからです。故人の交友関係が広いと、家族葬にしたことで葬儀より長期間、弔問客の対応に追われるかもしれません。葬儀と異なり、バラバラの日時で訪れるため、遺族は外出しづらく、気が休まらないかもしれません。
家族葬のトラブル防止策
トラブル防止には周りへの配慮が大切
家族葬自体は故人や遺族の意思が第一ですが、トラブルを防ぐには、周りの人に対する配慮が重要です。親族も近所の人も、それぞれが故人に対する思いを持ち、何らかの形でお別れをしたいと考えているはずだからです。
特に、参列をお願いする人を決める際は、誰に参列してもらうかについても慎重に判断しましょう。遺族の知らないところで故人と深い付き合いの人がいるかもしれません。
家族葬が故人の遺志であることを伝える
家族葬のトラブル防止には、故人の遺志ということをハッキリ伝えるのも効果的です。親族や近所の人も、故人が家族葬を希望していたと強調すれば納得してもらえることが多いようです。
親族には事前に説明し、家族葬への理解を得る
親族には事前に家族葬をすることを話し理解を得ておきましょう。コミュニケーション不足だとトラブルになりやすいからです。今後も付き合いが続く親族とは揉めずにすむのがベストです。なるべく早めに相談し、安心して葬儀を行いましょう。
近所には家族葬をする旨の回覧を回す
具体的な葬儀日時は伝えない方がいい場合も
近所の人には家族葬を行うことについて、回覧するのがトラブル防止に有効です。弔問や香典を辞退する場合も、お知らせにハッキリ書いておけば、近所の人が迷わずにすむでしょう。
具体的な葬儀日程も書かないほうがいい場合もあります。近所付き合いが密な地域では、家族葬で弔問を辞退しても家が近いからと訪れる人がいるかもしれないからです。葬儀日程を書くと、「葬儀に来てほしい」という意思表示にとられるかもしれません。
具体的な日時を知らせずとも訃報のお知らせと、故人の遺志により身内で家族葬をするので参列は辞退すると丁寧に書いておけば理解してもらえるはずです。
ただし、辞退する旨を記載していても、弔問に訪れる人や香典を持参される可能性はあります。丁重にお断りしても「どうしてもお別れをしたい」という場合は、無理に断らず柔軟に対応することも大切です。
葬儀後に訃報の報告をする
家族葬の弔問トラブルを防ぐには、近所の人以外は葬儀後に落ち着いてから、事後報告を兼ねて訃報を知らせるほうがいいかもしれません。香典や弔問についても辞退する旨を知らせておけば、葬儀後の弔問対応に追われる心配も少なくなるでしょう。
弔問を辞退しても訪れる人がいるかもしれませんが、精神的に負担が大きい場合や、都合が悪い場合は断ることもできます。ただ、人づてに訃報を知り、家族葬と知らず弔問に訪れた人は、故人を見送りたいという気持ちを考慮し、ありがたく参列してもらうほうがいいでしょう。
香典額が少ない可能性も念頭に
事前の見積もりをしっかりと
家族葬は少人数だからこそ会場費用や飲食費用を抑えやすく、香典を辞退すれば返礼品を準備する手間も省けます。ですが、金銭的なトラブルの防ぐためにも、一般葬より香典額が少ないことを念頭に置いて準備を行いましょう。
費用を検討する際は、表記された金額のみで判断せず、必ず事前に見積もりをとることも重要です。セットプランに何が含まれるか、オプションになる費用など、項目ごとに細かくしっかり確認しておくことが肝心です。葬儀社とも相談しながら、予算内に収まるようなプランを検討しましょう。
家族葬のトラブル対処法は?
家族葬を行った後にお別れ会を開く
家族葬のトラブル防止策として、葬儀後にお別れ会(偲ぶ会)を開くのも対処法のひとつです。家族葬自体は故人や家族の希望と納得できても、参列できなかったことを悲しいと感じる人にとって、お別れ会(偲ぶ会)は、気持ちの整理につながるはずです。
遺族側も、葬儀は身内だけでゆっくりと行えるのに加え、お別れ会(偲ぶ会)は出席人数をあらかじめ把握できて、弔問客の対応に追われることもないため、精神的に負担が少ないでしょう。費用も一般的な葬儀に比べ抑えやすいといわれています。最近はホテルやレストランでもお別れ会を開けることが多いので、料理の準備やサービス面でも遺族の負担を減らせるでしょう。
お別れ会(偲ぶ会)を開く場合は、お知らせをするときに「葬儀は家族葬にするが、後日お別れ会を開くのでお越しいただけないか」と伝えるといいでしょう。遺族側の意向をはっきり示しつつ、相手の気持ちも立てることができるはずです。
通夜のみ家族で行い、葬儀・告別式は一般葬にする方法も
お別れ会以外に、通夜は密葬にして、葬儀・告別式を一般葬にするという方法もあります。葬儀・告別式だけ一般葬にすることで、遺族の精神的・身体的負担を減らし、通夜は身内だけで故人をしのぶことができるはずです。
故人と関わりがあった人も、葬儀・告別式でお別れができるでしょう。葬儀・告別式だけ一般葬にする場合は、訃報通知に告別式の日程のみを知らせるといいでしょう。
家族葬のトラブルは配慮次第で防げる
周囲の人の気持ちを大切にすることがトラブル防止に
家族葬は故人や遺族の希望を反映しやすく、メリットが多いですが、配慮を怠るとトラブルを引き起こすこともあります。地域によっては親族や近所の人など、家族葬に慣れない人もいるからです。
葬儀は故人だけでなく、関わりがあった人たちにとっても大切なお別れの場です。トラブルになって後味悪くなることは、今後の付き合いをする上でも避けたいところです。誰か一人でも、しこりが残らないようにするためにも、故人の生前の交友関係の把握は慎重に行い、配慮しながら準備をすることが大切です。