2024.10.31

キリスト教の葬儀の流れと作法について|香典の表書きは?

キリスト教の葬儀の流れと作法について|香典の表書きは?

日本では仏式葬儀が中心ですが、以前に比べるとキリスト教式葬儀が行われることも増えています。キリスト教式葬儀で行う作法を知っておき、戸惑わずに対応できるようにしましょう。

キリスト教式葬儀は2つの葬儀形式に分かれる。

キリスト教式葬儀は、大きく分けてカトリック派とプロテスタント派との葬儀形式があります。葬儀の内容はそれぞれ異なるものの、共通する作法もあります。
カトリック派とプロテスタント派、それぞれのおおまかな葬儀の流れは以下の通りです。

キリスト教カトリック派の葬儀の流れ

通夜の集い(通夜の祈り) 聖歌合唱・祈り・献花
葬儀ミサ 入堂式・言葉の典礼・パンと葡萄酒の奉納・感謝の典礼・赦祷式・献花・祈祷・聖歌斉唱・出棺
告別式 故人の略歴紹介・弔事朗読・弔電の紹介・献花など

キリスト教プロテスタント派の葬儀の流れ

前夜式 聖歌合唱・聖書朗読・祈り・献花・参加者による会食、茶話会
葬儀 聖書朗読・聖歌斉唱・牧師による説教・祈り・故人の略歴紹介・弔事朗読・
告別献花 行わない場合は黙祷

以下、カトリック派・プロテスタントそれぞれ、詳細に解説していきます。

キリスト教式葬儀における<通夜>

キリスト教カトリック派の「通夜の集い(通夜の祈り)」

通夜は本来、仏式葬儀で使用する言葉で、故人との別れを惜しみ、故人の霊や遺族を慰めるための儀式です。
キリスト教カトリック派でも、仏式葬儀における通夜と同じような意味を持つ儀式を行います。儀式は通夜ではなく、通夜の集いや、通夜の祈りと呼ばれ、自宅で行うことが多いです。
儀式の内容も、仏式葬儀で行う通夜とは異なります。祭壇を作り、お経ではなく、神父と共に聖歌を合唱して祈りをささげ、献花を行うのが一般的な流れです。
キリスト教カトリック派は、事情があって神父が迎えることができない場合、参列者の一人が神父の代わりをすることもあるのも特徴のひとつです。

キリスト教プロテスタント派の「前夜式」

同じキリスト教式葬儀でも、カトリック派とプロテスタント派とでは、通夜にあたる儀式は異なります。プロテスタント派では、前夜式という儀式を行うのが一般的です。
前夜式はカトリック派と同じように、自宅で行うことが多いです。儀式の内容は、参列者全員で聖歌を合唱し、牧師が聖書を朗読するときは祈りをささげ、献花を行うのが主な流れです。
カトリック派と異なる特徴は、参列者全員で簡単な会食や、茶話会をすることが一般的であることです。仏式葬儀では、通夜のあと参列者に飲食をふるまい、故人の供養をしますが、会食にも、通夜ぶるまいと同じような意味が込められています。

本来キリスト教自体に<通夜>という概念はない

カトリック派の通夜の集いや通夜の祈り、プロテスタント派の前夜式は、仏式葬儀における通夜と、同じような意味を持つ儀式です。しかし本来は、キリスト教自体に、通夜をするという概念がありません。通夜の集いや通夜の祈り、前夜式というのは、あくまでも、日本で独自に生まれた慣習です。他の国では行わないか、また別の儀式が行われると考えていいでしょう。

キリスト教式葬儀の<葬儀・告別式>

キリスト教カトリック派の「葬儀ミサ」

葬儀という言葉も、本来は仏式葬儀で使用する用語で、死者の冥福を祈って弔う儀式です。
キリスト教カトリック派で、仏式葬儀の葬儀と同じような意味をある儀式は、葬儀ミサです。
葬儀ミサは、教会で行うのが一般的です。儀式の内容は、棺が教会に安置されるまでの入堂式、聖書の朗読や説教などを行う言葉の典礼、パンと葡萄酒を奉納し、祈りをささげる感謝の典礼などを行うのが、基本的な流れです。感謝の典礼は、死者の魂を救う儀式で、カトリック派では特に大切にされています。
感謝の典礼で祈りをささげたあとは、赦祷式という神父による追悼の説教を聞き、参列者による献花、祈祷、聖歌斉唱を行い、出棺へと続きます。

葬儀ミサのあと、改めて告別式を行う場合もある

仏式葬儀において告別式は、故人と最後のお別れをする社会的儀式です。
カトリック派の葬儀でも、告別式は同じような意味を持ちます。ただし、告別式を行うか行わないかは遺族の考え方や状況によって異なります。
告別式を行う場合は、葬儀ミサが終了し神父が退場したあと、遺族の進行で行います。仏式葬儀と同じように、故人の略歴を紹介し、弔辞朗読や弔電の紹介、献花を行うのが一般的な内容です。

キリスト教プロテスタント派の「葬儀・告別献花」

カトリック派が葬儀ミサを行うのに対し、プロテスタント派の場合は、聖書朗読や聖歌斉唱を行い、牧師の説教を聞き、祈りをささげることを葬儀の形にしています。葬儀の中で、故人の略歴紹介や、弔辞朗読も行います。

キリスト教式葬儀プロテスタント派は葬儀とあわせて告別献花を行う

プロテスタント派の場合は、仏式葬儀における葬儀と告別式とを、あわせて行うのが特徴です。仏式葬儀における告別式と同じ意味を持つ儀式は、告別献花と呼ばれます。告別献花、という名前の通り、故人とお別れの意味を込めて献花を行います。献花を行わない場合は、黙とうをささげることが多いです。

キリスト教式葬儀の献花

キリスト教式葬儀での献花は焼香や玉串に近い儀式

献花は呼んで字のごとく、白菊やカーネーションなどの花を、祭壇にささげる儀式です。献花の作法は、キリスト教式葬儀ならカトリック派もプロテスタント派、どちらでも共通です。

キリスト教式葬儀で献花を行うときの作法

  1. 祭壇に向かって一礼する。
  2. 係の人から花が右側にくるように両手で受け取る。
  3. 祭壇前で遺影に向かい、一礼する。
  4. 進み出ながら、花の根元が祭壇に向くよう、時計回りに回転させる。
  5. 左手の甲を下にし、右手は茎の下の方に添えて、花を献花台に置く。
  6. 頭を下げて黙とうする。
  7. 一歩下がって深く一礼する。
  8. 遺族や牧師(神父)に対し、一礼して席に戻る。

献花の持つ、故人への祈りをささげるという意味は、仏式葬儀におけるお焼香や、神式葬儀の玉串奉奠と近いイメージと捉えていいでしょう。

キリスト教における「死」の意味|死は永遠の命の始まり

仏教や神道において、死はけがれであり、死人は不浄のものとされています。しかし、キリスト教では、「死=けがれたもの」、という意識はありません。
むしろ死は、永遠の命の始まりとされています。人が亡くなることは悲しいことですが、同時に死者は永遠の命を手に入れるので、決して不幸な出来事ではない、と考えられています。

同じキリスト教でも、カトリック派とプロテスタント派とでは、死への考え方が異なる

「死=永遠の命の始まり」という考え方は、キリスト教全体に共通する意識です。ただし、同じキリスト教でも、カトリック派とプロテスタント派とでは、少し考え方が異なります。
キリスト教カトリック派では、死者は神に委ねる、という考えられています。全てを神に委ねるため、人が亡くなったときは、故人の復活を願って神に祈りをささげます。葬儀も、故人が生前犯した罪を、神にわびて許しを請い、永遠の安息を得られるように願って行います。

対するキリスト教プロテスタント派は、死を「昇天」と呼び、人は死後神に召されるという考えです。許しを請わなくても、故人はすでに神のもとで安らかな状態でいるとされます。葬儀や告別献花で行う祈りも、神へささげるものです。もちろん、故人に対しても、永遠に安らぎを得られるようにと願って祈りをささげますが、どちらかというと神への感謝や遺族を慰めるという意識のほうが強いといえます。

キリスト教式葬儀の気を付けたい作法

お悔やみの言葉を言わないのが作法

キリスト教式葬儀では、お悔やみの言葉を言わないのがマナーのひとつです。
前述したとおり、仏教や神道とは違い、キリスト教において死は永遠の命の始まりだからです。
通夜にあたる儀式や葬儀・告別式で遺族に声をかけるときは、「安らかな眠りをお祈りいたします」と祈りの言葉を伝えるのが一般的です。
とっさに言葉が思いつかないときは無理に言おうとせず、「お知らせいただき、ありがとうございます。」と簡単な言葉を伝えるだけでもかまいません。

キリスト教の聖歌や祈りはできるだけ一緒に歌い、唱える

キリスト教式葬儀に参列すると、始まる前に聖歌や讃美歌、聖書の祈りの一節などを印刷した用紙が配られることがあります。もし配られたときは、できるだけ一緒に聖歌を歌い、祈りをささげましょう。原則として、信者でない限り強制参加ではありませんが、故人が安らかに眠れるようにと周囲に合わせて参加するほうがベターです。

キリスト教式葬儀において、香典の表書きは「御花料」と書くのが一般的な作法

あらかじめキリスト教式葬儀が行われると分かっている場合は、香典の表書きにも注意しましょう。キリスト教式葬儀の場合、香典袋は無地かユリの花、もしくは十字架の柄が入ったものに包みます。表書きは、「御花料」とするのが一般的です。ただし、分からない場合は無理に用意する必要はありません。「御霊前」でも間違いではないからです。

キリスト教式葬儀では献花の正しい作法を覚えておくことが大切

キリスト教の考えを理解し、故人の安息を願ってささげよう

キリスト教式葬儀は、カトリック派とプロテスタント派とでやり方が異なるものの、献花は共通する儀式です。参列するとき戸惑わずにすむよう、あらかじめ献花の正しい作法を理解しておきましょう。特に、花を回転させるときは時計回り、置くときは左手の甲を下にすることがポイントです。
キリスト教の死や死者に対する考え方は、仏教や神道とは異なります。人が亡くなることは悲しいですが、決して忌み嫌うものでないので、献花を行うときも、故人が安らかに眠れるようにと願って行いましょう。

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